2026年7月30日、日本のモビリティスタートアップである株式会社NearMeが、福岡県内の14市町でAIを活用したタクシーサービスの運行を開始した。インバウンド急増に伴う九州の交通課題の改善を目指す。
福岡・北九州など14市町へ進出 急増する訪日客と地域需要に応える
株式会社NearMeは、九州におけるタクシー展開の大幅な拡大を決定し、新たに福岡市や北九州市を含む14市町でサービス提供を始めた。
九州地方では近年インバウンド需要が著しく拡大しており、2026年4月の福岡県における外国人宿泊者比率は40.3%と過去最高を記録している。主要都市への玄関口として旅行者が集中する一方で、空港や駅から目的地までの移動において荷物を抱えたまま乗り継ぐ負担が顕在化していた。
こうした背景を受け、同社は熊本県での実績をもとに、AIを用いた最適な配車ルート形成と乗車手配を行うシステムを福岡エリアへ導入する。
ユーザーは専用サイトを通じ、乗車1時間前までに申し込むことで効率的な移動が可能となる。貸切利用のほか、複数人で相乗りを行うシェア乗り選択時には最大50%割引となる事前確定料金で利用できるため、旅行者だけでなく地域住民の日常的な足としても活用が進むと期待される。
地域交通の負荷軽減に期待 事業者との共存や知名度獲得が課題に
今回のエリア拡大は、慢性的な人手不足に悩む九州の地域交通において、持続可能な移動インフラを構築する試みとして大きな意味を持つ。
大きな荷物を持つ観光客の移動を分散化しスムーズな周遊を促すことで、既存の公共交通機関にかかる混雑の解消につながると見込まれる。さらに、北九州空港アクセス推進協議会との連携によりホームページや館内での情報発信を展開することで、空港から市街地へのスムーズな流入を支える効果も生み出すだろう。
一方で、サービスの定着にはいくつかのハードルも存在する。事前予約制やメールによる確定通知といった利用手順が、即時性を求める層にどこまで浸透するかは未知数と言える。
また、需要の急増に対応するためには地元のタクシー事業者との強固なパートナーシップが不可欠であり、運用面の調整が難航するリスクも否めない。地域の移動手段としての利便性とビジネスとしての収益性をいかに両立させるかが、今後の成長を左右するポイントになる。