2026年7月29日、京都銀行はAIを活用した「粉飾検知モデル」の運用開始を発表した。同行が保有する財務データを基にNTTデータの支援を受けて独自開発したもので、企業の粉飾決算リスクを定量的に分析し、与信管理の高度化と業務効率化を目指す取り組みである。
AIで粉飾決算リスクを可視化
京都銀行が運用を開始した粉飾検知モデルは、過去の粉飾決算事例や大量の財務データをAIに学習させ、複数の財務指標を横断的に分析することで、企業ごとの粉飾決算の可能性を数値として評価する仕組みである。従来の審査担当者による分析を補完し、リスクをより客観的に把握できるようになる。
モデルは京都銀行の保有データや審査ノウハウを基に構築され、NTTデータが技術面を支援した。AIによる大量データ分析と金融機関の知見を組み合わせることで、高精度な粉飾検知を実現し、与信管理(※)の高度化・効率化を図る。
粉飾決算を見逃した場合、金融機関は誤った融資判断や貸し倒れリスクを抱える可能性がある。今回のモデルは従来の審査手法を置き換えるものではなく、新たな分析手段として活用することで、リスク管理の精度向上と業務負担の軽減を目指す。
京都銀行は今後もデータ活用を進め、リスク管理だけでなく営業やマーケティング、サービス開発にもAIを活用し、顧客への価値提供を強化していく方針を示している。
※与信管理:企業や個人に融資する際、財務状況や返済能力を分析して信用リスクを管理する金融機関の重要業務。
AI審査は金融業界へ広がるか
今回の取り組みは、AIが融資判断そのものを下すのではなく、人による審査を支援する役割を担う点に意義があると考えられる。リスクの高い企業を効率的に抽出できれば、担当者は経営改善支援や顧客との対話など、より付加価値の高い業務へ時間を振り向けられる可能性がある。
一方で、AIの分析結果は学習データやモデル設計に影響を受けるため、分析結果を過信しない運用が求められる。経済環境や不正手法の変化に応じた継続的なモデル更新と、人による最終判断を組み合わせる運用体制も重要になるだろう。
金融業界では生成AIだけでなく、審査やリスク管理など基幹業務へのAI活用が進みつつある。今回の事例は、地域金融機関においてもAIの実務活用が広がる可能性を示す一例と言える。今後は、他の地方銀行でも同様の取り組みが検討される可能性がある。
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