富士通は国産次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」と搭載サーバを世界展開すると発表した。
AI推論で他社CPU比2倍のスループットを実現し、同等処理量に必要なサーバ台数と消費電力を半減するとしている。
国産CPUを世界展開 日本・欧州でサーバ提供
富士通は2026年9月14日、国内で設計・開発した次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」を、クラウド・データセンター事業者やサーバベンダー向けに2026年11月から単体販売すると発表した。米国やAPACを含めてグローバルに展開する方針である。
MONAKAは2nmプロセスを中核に5nmのキャッシュ・I/O部を組み合わせた3D積層構造を採用し、最大動作周波数3.8GHz、メモリ転送速度8800MT/sを実現する。
行列演算向け専用命令やSVE2ベクトル演算などにより、AI推論では他社CPU比2倍のスループットを発揮し、同等処理量に必要なサーバ台数と消費電力を半減できるとしている。
搭載サーバ「Fujitsu MONAKA Server」は国内で設計・開発し、笠島工場で製造する。1UモデルではCDI/CXL技術(※)を採用し、冷却電力も最大80%削減するという。
富士通は「Fujitsu Kozuchi」や生成AI「Takane」と組み合わせたソブリンAI基盤も展開する。
2026年度下期から金融、通信、製造分野の一部顧客へサーバを先行提供し、2027年4月以降に日本と欧州へ順次出荷する予定だ。
今後はAIデータセンター向け高密度サーバや、ロボットによる保守自動化などに対応したラックスケールサーバも追加する計画である。
※CDI/CXL技術:CPU、メモリ、アクセラレータなどの計算資源を柔軟に接続・共有し、必要なリソースを効率よく割り当てるための技術。
省電力AI基盤の選択肢拡大 普及には課題も
今回の展開は、生成AIの普及で深刻化する電力需要や設置スペース不足に対し、GPU中心の構成とは異なるCPUベースのAI推論基盤を提示する動きといえる。
冷却設備への負担を抑えられれば、オンプレミス環境で機密情報を扱う企業や公共機関にとっても導入の選択肢が広がる可能性がある。
また、CPUからサーバ、AIプラットフォーム、生成AIまでを富士通の技術群で垂直統合する構成は、データ管理やサプライチェーンの透明性を重視する需要とも親和性が高そうだ。
地政学リスクが意識されるなか、性能だけでなくトレーサビリティや運用自律性を含めた基盤価値を打ち出せる点は特徴的といえる。
一方、実際の普及にはソフトウェア互換性や既存AI環境との接続性、安定した供給体制などが重要になる。
特にAI計算基盤ではGPUを中心とした既存の開発環境が広く利用されているため、MONAKAが実運用でどこまで導入負担を抑えられるかも焦点になるだろう。
今後は、省電力性能と国産基盤という強みを、実際の導入拡大と市場定着につなげられるかが鍵になりそうだ。
先行導入で得られるユースケースや運用実績が、MONAKAの競争力を左右すると考えられる。
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