2026年6月29日、株式会社NTTデータとダイキン工業株式会社は、AIを活用してサーバー内部の熱状態を予測し、データセンター全体の冷却設備を最適制御する共同検証を2026年7月から開始すると発表した。生成AI向けサーバーの急増に伴う冷却効率の課題に対応し、2027年度の商用化を目指す。
AIでサーバー内部の熱を予測、冷却設備を統合制御
生成AIの普及に伴い、データセンターでは消費電力と発熱量の大きいAIサーバーの導入が急速に進んでいる。一方、従来の空調制御はサーバー周辺の温度センサーを基準としており、内部の実際の熱状態を正確に把握できないことから、過剰冷却や冷却不足が課題となっていた。
両社はNTTデータが保有するデータセンターの運用データやサーバー挙動と空調の相関データ、ダイキンの空調制御AI技術を組み合わせ、サーバー内部の熱状態を推定するAIを共同開発する。サーバー内部の詳細データを直接取得しなくても、電力使用量や温度などの間接データから熱状態を予測できることが特徴だ。
さらに、予測結果をもとに空調設備、熱源設備、液体冷却設備(※)を連携させ、データセンター全体を統合制御する仕組みの有効性を検証する。2026年7月から2027年3月までNTTデータのデータセンターで実証を行い、省エネルギー効果や電力コスト削減、運用自動化などを評価したうえで、2027年度中の商用化を目指す。
※液体冷却設備:水や専用冷却液を利用してサーバーや半導体を直接冷却する方式。空冷より高い冷却性能を持ち、高発熱のAIサーバー向け技術として導入が進んでいる。
AI時代のデータセンター競争力を左右する可能性
今回の取り組みが実用化されれば、サーバー内部の熱状態に応じて冷却設備を最適に制御できるようになり、過剰冷却による無駄な電力消費の抑制や、負荷変動への迅速な対応が期待される。電力コストの削減だけでなく、温室効果ガス排出量の低減にもつながる可能性があり、データセンター事業者のESG経営を後押しする技術としても注目される。
一方で、効果はAIの予測精度に大きく左右されると考えられる。予測が不十分であれば冷却不足によるシステム障害や、逆に過剰冷却による電力消費増加を招くリスクもある。また、既存設備との連携や運用環境ごとの最適化には一定の検証期間が必要になると考えられる。
生成AIの普及によってデータセンターの消費電力は世界的な課題となっており、冷却技術の高度化は今後さらに重要になるとみられる。両社は将来的に国内外のデータセンターへの展開も視野に入れており、今回の実証結果がAI時代の新たな冷却ソリューションの標準モデルとなるか注目される。
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