2026年6月23日、米ElevenLabsは、俳優マイケル・ケイン氏の公式AI音声を活用したホメロスの叙事詩『The Odyssey』のオーディオブックを公開したと発表した。専用アプリ「ElevenReader」で無料配信され、AI音声を活用したコンテンツ制作の新たな活用事例として注目を集めている。
AI音声で名優の朗読を再現 古典文学を無料配信
ElevenLabsが公開した『The Odyssey』は、同社のオリジナル制作レーベル「ElevenProductions」による初のオーディオブック作品である。朗読には、英国の名優マイケル・ケイン氏の公式AI音声を採用し、トロイア戦争後から故郷イタケへ帰還するまでのオデュッセウスの旅路を全文収録した。
本作では主人公のナレーションだけでなく、登場人物ごとの音声、オリジナル音楽、効果音もElevenLabsのAI音声モデルによって制作されている。AIによる音声合成と演出を組み合わせることで、従来の朗読作品とは異なる没入感を目指した構成となっている。
作品は専用アプリ「ElevenReader」で本日から無料配信され、誰でも視聴可能だ。マイケル・ケイン氏は「『The Odyssey』は史上最も偉大な物語の一つであり、デジタル技術によって現代の読者へ届けられることをうれしく思う」とコメントした。
また、ElevenLabsのジャック・マクダーモット氏は、「古代から語り継がれてきた物語を、人間の創造性とAI音声技術を組み合わせることで現代向けに再構築した」と説明している。近年は生成AIによる音声技術の精度が急速に向上している。
AI音声コンテンツ市場の拡大を後押しするか
今回の取り組みは、AIが人間の表現を置き換えるのではなく、本人の許諾を前提に創作活動を拡張する事例として注目される。著名人が長時間の収録を行わなくても高品質な音声作品を制作できるようになれば、出版や教育、エンターテインメント分野で新たなビジネスモデルが生まれる可能性がある。
一方で、AI音声の普及には権利管理や悪用防止といった課題も残る。本人の許可なく音声を複製するディープフェイクの問題は各国で議論が進んでおり、正規ライセンスの管理体制や法整備の重要性は今後さらに高まる可能性がある。
AI音声技術は、読み上げ支援にとどまらず、映像やゲーム、出版など幅広い分野での活用が進みつつある。今回の事例は、AIとクリエイターが共創する新たな制作手法の普及を後押しする一例となる可能性があり、今後のコンテンツ制作の在り方にも影響を与えるか注目される。
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