アステリアは国内企業向けJPYC入出金管理サービス「JPYC Gateway」で使える「標準ウォレット」と「公認ウォレット」を発表した。
ステーブルコインを実務で管理・利用しやすくする選択肢を整える。
標準搭載と認定で導入負担を軽減
2026年6月16日、アステリアは、日本円建ステーブルコイン「JPYC(※1)」を企業で活用するための入出金管理サービス「JPYC Gateway」において、ウォレット(※2)の標準搭載と公認制度を発表した。
同社は2026年4月1日にJPYC Gatewayの提供を開始しており、今回の発表は企業が実際にJPYCを保管、送受信、管理する際の環境整備にあたる。
企業がJPYCを利用するには、銀行口座のように入出金先となるJPYC用ウォレットを保持する必要がある。
ウォレットを選択しやすくするため、アステリアは新たにウォレットを用意する企業向けに、JPYC Gateway上で設定・管理できる「標準ウォレット」としてFireblocks Inc.の「Dynamic」を搭載することを決定した。
一方、すでにウォレットを利用している企業には、接続確認を実施した「公認ウォレット」を認定し選択の指針とする。
公認ウォレットには、ハードウェア型の「Openloop」に加え、ソフトウェア型として「Fireblocks」「HashPort Wallet」「MetaMask」「N Suite」が並ぶ。
国内開発のハードウェアウォレットであるOpenloopについては、先着100社への無償提供も予定されている。
アステリアは今後、JPYC対応ウォレットとの接続確認を進め、公認ウォレットを拡充していく方針である。
※1 JPYC:改正資金決済法に基づく電子決済手段として発行される日本円建ステーブルコイン。
※2 ウォレット:保管・送受信・管理するためのブロックチェーン上のデジタル財布を指す。
企業利用の鍵はウォレット整備と運用ルール
今回の取り組みのメリットは、企業がステーブルコイン導入時にウォレットを選びやすくなる点にある。
秘密鍵管理、承認権限、監査対応、既存システム連携は経理・財務部門にとって判断負荷が大きい。
標準ウォレットと公認ウォレットが示されることで、自社の運用方針やリスク管理体制に合わせた選定が進みやすくとみられる。
一方で、ウォレットの選択肢が整っても、内部統制まで自動的に整備されるわけではない。
送金承認の権限設計、秘密鍵や端末の管理、会計システムとの連携範囲は各社が設計する必要がある。
特にハードウェアウォレットは安全性が期待できる反面、保管ルールや承認フローが曖昧なままでは、実務での利用が滞りかねない。
今後は、財務DXやAIエージェントによる自動決済の広がりに伴い、企業がステーブルコインを業務基盤の一部として扱う場面が増えるとみられる。
JPYC GatewayがERPや会計システムとの連携を深めれば、送金だけでなく、周辺業務の効率化にも用途が広がる。
企業向けウォレットの整備は、ステーブルコインを業務インフラへ近づける一歩になるだろう。
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