今週のWeb3業界では、金融機関によるオンチェーン決済基盤の整備と、プロダクトのUI/UX改善・実用化に向けた動きが相次いだ。
法定通貨インフラでは、3メガバンクらによる特定信託受益権を用いたステーブルコイン共同発行モデルや、信託型ステーブルコインJPYSCと米ドル建てOUSDの相互運用に向けた実証実験の検討など、企業間決済やトークン化証券決済の効率化を目指す取り組みが発表された。
DeFi領域では、wstETHやUSDCを担保に、日本円との価値連動を目指す過剰担保型ステーブルコインJPYdfを借り入れられる「JPY DeFi」がEthereumメインネットで公開。
さらに、楽天ウォレットによる現物・証拠金取引の統合アプリやパスキー認証の導入、Slash Visionによるセルフカストディウォレットとカード決済機能を統合したSlash Appの正式リリースなど、暗号資産の取引・決済体験を改善する動きもみられた。
本記事では、主要ニュース5件の技術的ポイントと市場への影響を紹介する。
2026/10/16-10/22のWeb3市場ハイライト
3メガバンクら、ステーブルコインの共同発行モデルを検証

SBIとスターテイル、OUSD推進のOpen Standardに参画 円建てJPYSCとの相互運用実証を検討

楽天ウォレットが暗号資産の現物取引・証拠金取引を統合した新アプリ発表 Android版先行公開

JPY DeFi、Ethereumメインネットで公開 wstETH・USDC担保で円連動目指すJPYdfを借入可能に

ステーブルコイン管理・決済のSlash App公開 Slash Cardの一般申込開始、免許証での本人確認に対応

2026/10/16-10/22のWeb3市場まとめ:市場の変化と最新動向
国内金融機関によるステーブルコイン発行・相互運用の構想が具体化する一方、DeFiや暗号資産の取引・決済を支えるアプリケーションの実装も進展している。
・3メガバンクら共同発行ステーブルコイン:特定信託受益権を用いた信託型スキームを検証し、メガバンクの顧客基盤を生かした大規模流通を見据えた設計構想を示した。クロスボーダー決済の高速化と事務コスト削減が期待される一方、銀行間の責任分担や業務手順の統一、AML/CFT対策が課題となる。
・JPYSCとOUSDの相互運用:信託型ステーブルコインJPYSCと米ドル建てOUSDの相互運用に向け、実証実験を検討する。実現すれば海外から円建て資産にアクセスしやすくなる可能性がある一方、通貨間の交換方法や各国の法規制への対応、取引の安全性確保が課題となる。
・楽天ウォレット統合アプリ:現物・証拠金取引を一つのアプリに統合し、AIコンシェルジュによる情報提供とパスキー認証を実装した。情報確認や取引操作の負担軽減が期待される一方、利用者には証拠金取引に伴う損失拡大リスクへの理解と管理が求められる。
・JPY DeFi(JPYdf):wstETHやUSDCを過剰担保とし、スマートコントラクトを通じて円連動を目指すトークンを借り入れるDeFiプロトコル。資産売却せずに流動性を確保できるが、担保急落時の清算リスクへの配慮が欠かせない。
・Slash App / Slash Card:セルフカストディウォレットとカード決済管理機能を統合し、運転免許証によるKYCと生体認証ログインを導入した。暗号資産による日常決済の導入障壁を下げる一方、秘密鍵や復元情報を利用者自身で管理する知識が求められる。
ステーブルコイン発行・相互運用の検討が進む一方、DeFiや個人向け取引・決済アプリの実装も広がる。今後はシステムの安定性、法規制への対応、利用者の資産・リスク管理を支える仕組みの整備が、実社会への普及を左右するだろう。