2026年6月24日、株式会社COMPASSは、学習eポータル+AI型教材「キュビナ」が福岡県太宰府市の市立全小中学校で正式採用され、2026年度の利用が始まったと発表した。約6100人の児童生徒がAIを活用した個別最適な学習環境を利用し、公教育におけるデジタル活用が新たな段階へ進む。
実証成果を受け全11校で正式導入
太宰府市は2025年度から、市立全11校でAI型教材「キュビナ」の試験導入を実施し、研究指定校を中心に活用方法の検証を進めてきた。その成果を踏まえ、2026年度から小学1年生から中学3年生まで約6100人を対象に正式導入することを決定した。
導入の背景には、「個別最適な学びと協働的な学び」の充実や、家庭学習の促進、学習履歴(※)の活用、教職員の業務負担軽減といった複数の成果がある。朝や放課後の短時間学習や家庭学習への活用が定着し、生徒が自ら学習を継続する環境づくりが進んだ。
太宰府市教育委員会によると、試行期間中にはAIドリルへの取り組み量と学力向上に相関が確認された。特に小学1年生では高い相関が見られ、不登校の児童生徒が学習の遅れを補い、定期テストで一定の成果を上げた事例も報告されている。
キュビナはAIが児童生徒一人ひとりの理解度に応じて問題を出題するアダプティブラーニング教材である。現在は全国170以上の自治体、約2300校、100万人以上が利用しており、公教育向けAI教材として導入が拡大している。
※学習履歴(スタディ・ログ):児童生徒の学習時間や解答状況、正答率などを蓄積したデータ。学習状況の把握や個別指導に活用される。
AI学習拡大へ 教育効果とバランスが鍵に
今回の正式導入は、AI教材が自治体単位で教育基盤として定着し始めたことを示す事例と言える。従来の一律指導だけでは対応が難しかった学習進度の違いや家庭学習の格差に対し、AIによる個別支援が選択肢として現実味を増してきた。
一方で、太宰府市はデジタル学習だけに依存しない姿勢も明確にしている。教育委員会は、紙の教材や読書、体験活動などリアルな学びと、AIドリルやICTを組み合わせた学習のバランスを重視すると説明した。デジタル活用による効率性を追求しながらも、思考力や健康面への配慮を欠かさない方針である。
今後、AI教材の普及がさらに進めば、教員は採点や演習管理の負担を減らし、対話や個別支援により多くの時間を割ける可能性がある。
AIは教育現場の役割を置き換えるのではなく、教師と児童生徒を支える基盤技術として存在感を高めつつある。太宰府市の取り組みは、公教育におけるAI活用の実効性を検証する先行事例として、今後ほかの自治体にも影響を与える可能性がある。