2026年6月24日、株式会社Acompanyは、NECが開発した生成AI「cotomi」をConfidential Computing環境で動作させる技術実証に成功したと発表した。CPUとGPUの両方で機密保護機能を有効化した状態でも性能低下は最大約10%にとどまり、安全性と実用性を両立できることを確認している。
国産LLM「cotomi」を安全に動作実証
株式会社Acompanyは、NECが開発した生成AI「cotomi」をConfidential Computing(※)(CC)環境で推論実行する技術実証を実施し、実用水準で運用できることを確認した。AMDのSEV-SNPによるCPU側のTEE(Trusted Execution Environment)と、NVIDIA Confidential ComputingによるGPU側のTEEを同時に有効化したConfidential Virtual Machine上で推論を実行し、通常環境との性能差を測定している。
検証の結果、CCを有効化した状態でも推論は問題なく動作し、速度低下は最大約10%にとどまった。この数値はNVIDIAが公表している性能データとも整合しており、機密保護機能による大幅な性能劣化は確認されなかった。
背景には、金融や製造、公共分野を中心に、プロンプトや機密ファイルをクラウド事業者にも開示せず生成AIを利用したいという需要の高まりがある。AppleやGoogleもAIとConfidential Computingを組み合わせた保護技術を採用しており、安全なAI実行基盤の整備は世界的な潮流となりつつある。今回の実証は、国産LLMでも同様の運用が実現可能であることを示した成果と言える。
※Confidential Computing:CPUやGPU内部の信頼された実行環境(TEE)でデータや処理を隔離・暗号化し、OSやクラウド事業者などからも処理内容を保護するセキュリティ技術。
安全な生成AI活用へ前進 普及には導入環境が課題
今回の成果は、機密性を重視する業界でも生成AIを導入しやすくなる可能性を示した点で意義がある。医療や金融、公共分野では情報漏えいへの懸念から生成AIの活用が限定的だったが、安全性と性能の両立が確認されたことで、導入判断を後押しする材料になることが期待される。また、日本語性能に優れる国産LLMを国内で安全に運用できることは、経済安全保障やデータ主権の観点からも重要な意味を持つと考えられる。
一方で、Confidential Computingに対応したCPUやGPUなどの環境整備では、追加の投資や運用体制の整備が求められるケースも考えられる。既存システムとの連携や運用ノウハウの蓄積も普及に向けた課題となる可能性がある。今後は性能だけでなく、導入のしやすさや運用実績が競争力の差につながる可能性があり、安全なAI基盤の標準化がどこまで進むかが注目される。
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