電通と電通デジタルは、広告・マーケティング領域のデータクリーンルーム分析を自然言語で支援するAIエージェントの運用を開始した。
専門知識が必要だった分析業務を対話形式で扱えるようにし、属人化しやすい広告データ活用の課題に対応する。
DCR分析を自然言語で支援
2026年6月25日、電通と電通デジタルは、データクリーンルーム分析を自然言語で支援するAIエージェント「Tobiras Agent」を開発し、運用を開始した。
2022年に発表したデータクリーンルーム分析基盤「Tobiras」を発展させた取り組みであり、既存基盤のAI化によって活用範囲を広げる狙いがある。
「Tobiras Agent」は、広告・マーケティング領域で使われるデータクリーンルーム(※1)分析を、自然言語による対話で進められるようにする仕組みである。
分析の目的や条件を入力すると、課題設定、分析クエリの生成、実行、結果取得、内容の読み解きまでを支援する。
これにより、従来は専門人材に依存しやすかった高度な分析を、より多くの担当者が扱える環境に近づける。
背景には、データクリーンルームの利用拡大と、分析業務の高度化がある。
近年、プラットフォーム各社が提供するデータクリーンルームは、個人情報を保護しながら広告効果の検証や高度なデータ分析を行う手段として注目されてきた。
一方で、実務ではSQL(※2)などの専門知識が必要となり、分析を担える人材が限られることで、業務の属人化や意思決定の遅れが課題となっていた。
第一弾として、広告・マーケティング領域で活用が進むAmazon Marketing Cloud(※3)に対応した分析エージェントを実装した。
両社は2026年6月25日から26日に幕張メッセで開催されたAWS Summit Japanで、「Tobiras Agent」を紹介した。
※1 データクリーンルーム:個人情報を保護しながら、複数のデータを安全に分析するための仕組み。
※2 SQL:データベースを操作・分析するための言語。
※3 Amazon Marketing Cloud:Amazonが提供する広告データ分析基盤。
分析AIが広告運用の標準工程を変える可能性
今回の開発のメリットは、データクリーンルーム分析の入口を自然言語に近づけた点にある。
広告主やマーケティング担当者が専門的なクエリ作成に過度に依存せず、分析目的や条件を対話的に整理できれば、施策の検証と改善のサイクルは速まるだろう。
電通グループが蓄積してきた年間1000件超の導入・運用実績を反映できる点も、実務に即した分析支援につながり得る。
一方で、AIによる分析支援が広がるほど、入力条件の設計や結果の読み解きには慎重さが求められる。
自然言語で簡単に分析できても、前提条件や指標の設定を誤れば、意思決定の質を損なう恐れがある。
データクリーンルームはプライバシー保護を前提とする仕組みであるため、権限管理や分析結果の妥当性確認も欠かせないだろう。
今後は、Amazon Marketing Cloud以外のデータクリーンルームへの対応や、電通の「AI For Growth Marketing Suite」に含まれる「Media Flow」との連携が焦点になりそうだ。
AIエージェントが分析補助にとどまらず、広告計画、配信、効果検証、改善提案までをつなぐ基盤へ発展すれば、マーケティング業務の標準的なワークフローを変える可能性がある。
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