日立製作所はOpenAIとの連携を本格化すると発表した。
先進AIを活用し、レガシーシステム刷新の効率化とサイバーセキュリティ強化を進める。
Forward Deployed EngineersとCodexを活用し、産業向けAI実装の拡大をめざす。
AIで刷新と防御を強化
2026年6月17日、日立はOpenAIとの連携を本格化し、システムのモダナイゼーション加速とサイバーセキュリティ強化に取り組む方針を示した。
両社は2025年10月に覚書を締結し、Lumada強化に向け、OpenAIのAI技術活用を検討してきた。
今回の取り組みでは、日立とOpenAIのForward Deployed Engineers(※)が連携する。
OpenAIのAIエージェント「Codex」を活用してレガシーシステムのコードを解析し、設計の可視化を通じて、安全な移行を支援するAIモダナイゼーションアプローチの確立をめざす。
日立は、既存コードをもとにした上流仕様の可視化から、新システムへの移行テストまでの一連のプロセスにAIを活用する方針だ。
今後は「Modernization CoE」が中核となり、AIソリューションを開発する。
開発したソリューションは「モダナイゼーション powered by Lumada」に組み込み、幅広い産業へ順次提供する予定である。
サイバーセキュリティ領域では、日立がOpenAIの「Trusted Access for Cyber」を通じ、サイバーセキュリティ向けAIモデルへのアクセスを取得する予定だ。
脆弱性の特定、優先順位付け、修復、検証など、防御目的での活用を検討する。
また、今回の取り組みで得た知見は、日立の次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」の高度化にも生かす方針である。
※Forward Deployed Engineers:顧客と連携し、AIモデルを実業務のシステムに導入・展開するエンジニア。技術要件の整理から設計、構築、本番展開までを担う。
基幹システム刷新とサイバー防御の両立へ
今回の連携のメリットは、生成AIの活用領域が、業務効率化だけでなく基幹システム刷新やサイバー防御に広がる点にある。
金融や社会インフラでは、古いシステムの仕様が属人化し、移行前の調査や影響範囲の把握に時間を要する。
AIによるコード解析や設計の可視化が進めば、刷新作業の初期工程を効率化し、移行計画の精度を高める手段になりうる。
一方で、基幹システムは停止や不具合が社会的影響につながりやすい。
AIが示す解析結果や修正案をそのまま採用すれば、見落としや誤判断を招くリスクもある。
ブラックボックス化したシステムをAIで読み解くには、専門家による検証、説明可能性、品質保証の仕組みが不可欠になるだろう。
サイバー防御でも、誤検知や過信を防ぐ運用ルールが問われる。
今後は、日立が自社内で得た知見をHMAXに取り込み、顧客向けの実装力をどこまで高められるかが焦点となる。
AIが脆弱性の発見や修復の優先順位付けを支援できれば、防御側の対応速度は高まる可能性がある。
ただし、社会インフラでの本格展開には、安全性と説明責任を両立するガバナンスが求められるとみられる。
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