株式会社フィスコは、暗号資産・ブロックチェーン事業を事業内容から除外し、報告セグメントを再編すると発表した。
これに伴い、自社発行の暗号資産フィスココイン(FSCC)のバリューアップ施策終了と、2025年12月期分として予定していたバーンの中止も決定している。
暗号資産事業撤退でFSCC施策終了
2026年5月14日、フィスコは3月27日の定時株主総会で定款を変更し、事業内容の見直しを実施したことを発表した。
その結果、従来展開していた暗号資産・ブロックチェーン事業を事業から外し、2026年12月期第1四半期より同事業セグメントを廃止している。
これまで同社の報告セグメントは「情報サービス事業」「広告代理業」「暗号資産・ブロックチェーン事業」の3区分だった。
今回の再編により、同社の報告セグメントは情報サービス事業と広告代理業の2区分体制へ移行した。
同時に、自社発行トークンFSCCの利用促進施策も終了する。
フィスコはFSCCのバリューアップ施策全体を終了する方針を示しており、これに伴い2025年12月期分として予定していたバーン(※1)も中止となった。
FSCCは2021年公表のホワイトペーパーに基づき、サービス拡充や流通促進を通じた経済圏形成を進めてきた。
これまで「CLUB FISCO」でのFSCC決済対応コンテンツ販売やステーキング(※2)関連コンテンツ販売、「フィスコ web」の「Learn to Earn(※3)」で獲得したポイントをFSCCへ交換できるサービスなどを展開していた。
同社は、暗号資産市場を取り巻く事業環境の変化や継続的なセキュリティ対応負荷、規制対応コスト増加を踏まえ、暗号資産関連事業の積極展開を終了すると判断したという。
FSCCの保有やウォレットでの管理、既存保有者による利用に直接影響はなく、暗号資産交換業者での取扱いにも直ちに影響は生じないとしている。
※1 バーン:暗号資産の供給量を減らすため、一定数量を使用不能な状態にする仕組み。流通量減少による価値向上を目的として実施される。
※2 ステーキング:暗号資産を保有・ロックすることで、ブロックチェーンの運用に参加し、報酬を得られる仕組み 。
※3 Learn to Earn:学習などの行動を通じてポイントや暗号資産などを得る仕組み。
独自トークン戦略は採算性重視へ転換か
今回のフィスコの撤退判断は、国内企業に対して独自トークン運営の採算性や継続負荷を再認識させる契機となるかもしれない。
今後は単なる発行や保有者拡大ではなく、決済や会員制度など具体的な用途を伴う設計へと移行が進む可能性もある。
収益性を前提とした運営体制の整備も重視されそうである。
一方で、FSCC施策終了やバーン中止は、独自トークンの価値向上策に対する市場期待を弱める可能性がある。
撤退事例が増加した場合、「維持コストが重い」という印象が先行し、国内企業による新規トークン発行や実証実験が慎重化する懸念も残りそうだ。
今後は、国内企業のトークン戦略が経済圏拡大から実利用と事業継続性を重視する方向へ移行する可能性がある。
決済や会員制度など具体的な用途設計に加え、継続収益や運営負荷を踏まえた体制構築も重要になりそうだ。
今後は、実装力そのものが事業継続を左右するための評価軸になるかもしれない。
フィスコ 「フィスココイン(FSCC)のバリューアップ施策終了及び焼却(バーン)の中止に関するお知らせ」
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