2026年7月16日、NTTデータは、Google CloudとAgentic Workplace Transformation(AWT)に関する包括契約を締結したと発表した。全社規模で「Google Workspace」と「Gemini Enterprise」を先行導入し、自社で得た実践知を企業向けサービスへ展開する。AI活用基盤の最適化モデルを確立し、日本企業の業務変革を後押しする狙いだ。
全社導入でAI活用基盤を実証
NTTデータはGoogle Cloudとの包括契約に基づき、国内外のグループ会社を含む社員を対象に「Google Workspace」と「Gemini Enterprise」の利用環境を整備する。最大の特徴は、自社を最初の導入事例とする「クライアントゼロ(※)」を実施し、その成果を顧客企業向けサービスへ反映する点にある。
今回の取り組みでは、Google Workspaceと既存のオフィス基盤を併用する大規模環境で、運用ルールやガバナンス、利用者教育、他プラットフォームからの移行方法などを検証する。AIエージェントを業務へ定着させるためのベストプラクティスを確立し、企業ごとの利用形態に応じた最適な業務基盤・AI活用基盤の提供を目指す。
背景には、生成AIの活用が個人利用から組織全体へ広がる一方、情報管理や権限管理、既存システムとの共存など運用面の課題が残っている現状がある。NTTデータは、自社で蓄積した実践知を導入支援やセキュリティ設定、研修コンテンツ、業務テンプレートなどへ展開し、企業のAI導入を包括的に支援する方針である。
※クライアントゼロ:新しい製品やサービスを自社へ先行導入し、実運用で得た知見を顧客向けサービスへ反映する取り組み。
実践知の共有が普及の鍵となる
今回の取り組みのメリットは、大規模組織で実証した運用ノウハウを企業へ展開できる点にある。AI導入ではツールの性能だけでなく、ガバナンスや利用ルール、教育体制の整備が成果を左右する要素となるため、実践済みのモデルを活用できることは、多くの企業にとって導入の参考になる可能性がある。導入企業は試行錯誤の負担を軽減しながら、AIを業務へ定着させやすくなることも期待される。
一方で、AIエージェントの活用範囲が広がれば、情報漏えいやアクセス権限の管理、AIの判断に対する責任の所在などが課題として認識される可能性もある。企業ごとに業務フローやシステム環境は異なるため、自社で得られた知見だけで全てのケースに対応できるとは限らない。導入時には個別の業務環境に応じた検証や運用設計が求められるだろう。
今後は、AIを導入すること自体よりも、AIを安全かつ継続的に業務へ組み込める体制の有無が、企業評価の一要素として重視される可能性がある。NTTデータが蓄積する実践知が業界全体へ広がれば、日本企業のAI活用を後押しする事例の一つとして参考にされることも考えられる。これらの取り組みがどの程度普及するかは、今後の導入成果や運用実績によって左右されそうだ。
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