キオクシアホールディングスは、米国で争っていた特許侵害訴訟について、原告の主張を認め、損害額を約2億2900万ドルと認定する陪審評決が下されたと発表した。
同社は判断を容認できないとして、控訴を含む法的手段を講じる方針だ。
米陪審が約371億円の賠償を認定
2026年7月17日、キオクシアホールディングスは、連結子会社のキオクシア株式会社とKioxia America, Inc.が被告となっている特許侵害訴訟で、米国時間同月16日に米テキサス州西部地区連邦地方裁判所において、原告の米Viasatの主張を認める陪審評決(※)が下されたと発表した。
暫定的な損害賠償金は約2億2900万ドルで、1ドル162円の為替レートを用いた換算額は約371億円となる。
訴訟は2021年11月29日、キオクシアグループ製品の一部がViasatの特許権に含まれる請求項1件を侵害しているとして提起された。
訴訟の対象となったキオクシアは、メモリや関連製品の開発、製造、販売を手掛けている。
米国子会社のKioxia Americaは、メモリおよびSSD製品の販売事業を展開する企業だ。
キオクシア側は、Viasatの主張と陪審の判断について「到底容認できるものではない」と表明した。
陪審評決に誤りがあると考える点について、評決後の申立てを行うほか、必要に応じて控訴するなど、取り得る法的手段を講じるとしている。
現時点で、今回の評決による顧客向け製品やサービスの提供への影響はないという。
連結業績への影響は精査中であり、開示が必要な事由が発生した場合には、改めて公表する方針だ。
※陪審評決:米国の裁判で、選ばれた市民からなる陪審が、証拠や当事者の主張を踏まえて事実関係や責任の有無、損害額などを判断すること。評決後も裁判官による判断や申立て、控訴によって内容が変更される場合がある。
巨額賠償の確定回避へ法廷闘争が長期化も
今回示された約371億円は暫定的な損害賠償額であり、今後の申立てや控訴によって判断が見直される余地があるため、現時点で財務負担を確定的に捉えるのは早計だと言える。
キオクシアが評決後の申立てや控訴に進めば、損害額や侵害判断が見直される余地があり、法的な決着までには時間を要する可能性がある。
キオクシアにとっては、巨額の財務負担を抑えるだけでなく、自社製品や技術の正当性を法廷で示し、顧客や取引先からの信頼を維持できるかが重要になるだろう。
特許侵害の判断が維持された場合、損害賠償に加えて、対象製品の設計や販売方針、将来の知的財産戦略にも影響が及ぶおそれがある。
一方、現時点で製品やサービスの提供に影響がないと明示したことは、顧客や取引先の不安を抑えるうえで意味を持つと言える。
半導体やストレージ製品は企業のシステムや機器に組み込まれるため、供給継続に関する説明は事業上の信頼維持に直結するだろう。
ただし、業績への影響が精査中である以上、投資家にとって不確実性は残ると言える。
今後は、裁判所が陪審評決をどのように扱うかに加え、キオクシア側の評決後申立てが認められるかや、控訴審で同社の主張が認められるかが焦点となり得る。
国際的に製品を展開する半導体企業では、技術開発力と同時に特許リスクへの対応力も競争力を左右しそうだ。
今回の訴訟は、法的判断の行方だけでなく、キオクシアが知的財産を巡る不確実性をどのように管理し、顧客や市場への説明責任を果たすかが問われる局面になるだろう。
キオクシアホールディングス株式会社 当社子会社に対する訴訟の陪審評決に関するお知らせ
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