国内決済サービス企業のネットスターズは、Canton FoundationとWeb3型決済の普及に向けた協業について基本合意書を締結したと発表した。ステーブルコインなどを既存決済に接続する「StarPay-X」の技術検討を進める。
Web2とWeb3決済を橋渡し
2026年7月7日、ネットスターズは、ブロックチェーン基盤「Canton Network」を運営するCanton Foundationと、Web3型決済の社会実装に向けた協業で基本合意した。
対象となるのは、ステーブルコイン(※)をはじめとする次世代デジタル決済の普及に向けた検討である。
今回のMOUは、具体的なサービス提供や導入を約束するものではない。両社の技術特性を生かし、Web3がもたらす金融機能を既存のWeb2型決済に接続するための協議・検討の枠組みを定めたものになる。
ネットスターズが推進する「StarPay-X」は、Web3を特定の技術やサービスに閉じず、既存のキャッシュレス決済の延長線上で利用できる環境を目指す構想だ。
同社はマルチキャッシュレス決済ソリューション「StarPay」を展開しており、QRコード決済や各種電子決済を一括導入できる基盤を持つ。
一方のCanton Networkは、各参加者が運用する分散型システム同士を接続する「ネットワークのネットワーク」として設計されたブロックチェーン基盤である。金融機関での利用も想定し、プライバシーやコンプライアンスを重視する点が特徴とされる。
※ステーブルコイン:価格を米ドルなどの法定通貨や資産に連動させるよう設計されたデジタル通貨。決済や送金での利用が期待される一方、発行体の管理体制や規制対応が重要になる。
普及の鍵は規制対応と導線
今回の協業が注目される理由は、Web3決済を「暗号資産ユーザー向けの特殊な体験」から、日常のキャッシュレス決済に近い体験へ近づけようとしている点にある。
店舗や利用者が既存の決済導線の中で選択できる形になれば、ステーブルコインやトークン化された価値の利用範囲は広がる可能性がある。
特に決済領域では、処理速度や手数料だけでなく、本人確認、取引監視、会計処理、資金移動規制への対応が不可欠になる。Cantonが掲げるプライバシー・コンプライアンス重視の設計は、金融機関や加盟店がWeb3決済を検討するうえで、導入ハードルを下げる材料になりうる。
一方で、社会実装までの距離はまだ残る。MOUはあくまで協議の枠組みであり、現時点で利用者向けサービスの開始時期、対応ウォレット、対象通貨、導入店舗などは示されていない。
既存のキャッシュレス決済と比べて、ユーザーがWeb3決済を選ぶ明確な利点をどう設計するかが課題になるだろう。
利用者が特定ウォレットに縛られず既存決済に近い感覚で使えるかという点では、マルチウォレット対応を含む具体的なスキームづくりが焦点になる。
決済事業者とブロックチェーン基盤が連携する今回の動きは、Web3を投機や実証実験の文脈から、日常決済のインフラへ近づける一歩と言える。
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