2026年7月1日、KLab株式会社は、AIを活用した金融商品の自動取引システムによる自己資金の運用を開始したと発表した。検証フェーズを終え、まず1000万円で実運用を開始する。今後は保有するビットコインの運用を段階的に移行し、AIを活用した金融事業の拡大を目指す。
AI自動取引を実運用へ 金融事業を本格始動
KLabは、2026年2月に開発を公表したAI自動取引システムについて、バックテストやデモトレードによる検証を経て、2026年7月1日から自己資金による実運用を開始した。初期運用額は1000万円で、リスク管理体制や本番環境、セキュリティ対策などの整備が完了したことを受けて運用フェーズへ移行した。
同システムは24時間365日稼働し、EMAスプレッドやRSI(※)、ATR、デリバティブ市場のデータ、オンチェーン情報など90種類以上の指標を1時間ごとに分析する。AIが相場の局面を判定し、最適な売買やリスク管理を実施するほか、優位性の低い局面では取引を見送る仕組みを採用している。
検証結果では、2022年から2025年末までのバックテストで最大857.6%のリターンを記録したほか、2026年3月から6月までのデモトレードでは、ビットコイン価格が16.4%下落する中で4.4%の運用成績となった。
また、財務戦略「デュアル・ゴールド・トレジャリー(DGT)」とは独立したプロジェクトとして運営し、2026年度末を目標に保有するすべてのビットコインをAIトレードへ段階的に移管する方針も示した。さらに、私募ファンドの組成や投資助言・代理業への参入、将来的には為替や株価指数などへの対象拡大も視野に入れている。一方で同社は、バックテストの過剰最適化やスリッページなどにより、実運用では想定どおりの成果が得られない可能性があることも説明している。
※RSI:価格の買われ過ぎ・売られ過ぎを数値化するテクニカル指標。ATRは価格変動の大きさを示す指標、スリッページは注文価格と実際の約定価格に差が生じる現象。
実績次第でAI金融事業の成長を左右
今回の取り組みは、ゲーム事業を主力とするKLabが新たな収益源の確立を目指す戦略として注目される。実運用で安定した成果を積み重ねられれば、AIを活用した資産運用事業の信頼性向上につながり、私募ファンドや投資助言業など金融サービスへの展開も現実味を帯びる可能性がある。
一方で、バックテストやデモトレードの成績は将来の運用成果を保証するものではない。市場環境の変化や流動性、規制対応など複数の要因が収益性に影響を及ぼす可能性があるため、継続的なリスク管理が重要になると考えられる。
AIによる自動売買を事業として収益化できれば、暗号資産を保有する企業における新たな財務戦略の選択肢として注目を集める可能性もある。今後は実運用の実績と透明性の高い情報開示が、市場からの評価を左右する重要な要素になると考えられる。
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