日本のスポーツ用品大手アシックスは、オニツカタイガー事業を100%子会社のOT GROUPへ承継する組織再編方針を発表した。
2027年1月1日の効力発生を予定しており、ブランドの独立性向上とグローバルな事業運営体制の強化を目的とした再編となる。
オニツカタイガー事業を独立性の高い運営体制へ移行
アシックスは2026年6月10日開催の取締役会で、オニツカタイガーブランドに係る事業を吸収分割(※)により100%子会社の株式会社OT GROUPへ承継する方針を決議した。
吸収分割契約の締結は2026年10月1日、効力発生日は2027年1月1日を予定している。
今回の再編では、アシックス本体のオニツカタイガー事業だけでなく、各国の地域事業会社が運営する同ブランド事業も分社化する方針だ。
OT GROUPをオニツカタイガー事業のグローバル本社と位置付け、その傘下に販売や製造などの機能を担う子会社を配置する体制へ移行する。
アシックスによると、近年のオニツカタイガー事業は展開地域の拡大やブランド認知度向上を背景にグローバルで成長を加速させている。
これまで社内カンパニー体制のもとで直営店展開を中心とした事業を推進し、「ラグジュアリーライフスタイルブランド」としての地位確立に取り組んできた。
組織再編の目的として同社は、オニツカタイガー事業をより独立性の高い運営体制へ移行させることで意思決定の迅速化を図り、ブランド特性に応じた競争力の創出を目指すとしている。
また、アシックスグループ全体ではガバナンス体制の構築、事業ごとの経営状況の可視化、経営責任の明確化を進める方針だ。
今回の会社分割に際しては普通株式400株を新たに発行し、その全てをアシックスへ割り当てる予定である。
分割対象となる事業の2025年12月期売上高は単体ベースで66億6300万円だった。なお、この金額はアシックスが各国の地域事業会社から受領するロイヤリティ等を指す。
承継対象となる資産は27億1000万円、負債は2億4800万円とされるが、実際の金額は効力発生日までの増減を踏まえて確定する。アシックスは、本会社分割による連結業績への影響は軽微との見通しを示している。
※吸収分割:企業の特定事業に関する資産や契約、権利義務などを別会社へ承継させる会社分割の手法。
再編がもたらす利点と今後の注目点
今回の再編には、ブランドごとの経営判断を行いやすくなる利点が考えられる。
独立した組織体制が整えば、市場環境や消費者ニーズの変化に対して柔軟な戦略を打ち出しやすくなる可能性がある。
また、事業単位で収益や投資状況が把握しやすくなれば、経営資源の配分や成長戦略の検討も進めやすくなるかもしれない。
ブランド価値を軸とした経営を強化するうえで、専任組織の存在は一定の効果をもたらすはずだ。
一方で、グループ内の組織が増えることで管理コストや調整業務が拡大する懸念も否定できない。
独立性の向上とグループ全体の連携をどのように両立させるかは、今後の運営における重要な論点になり得る。
また、組織間の役割分担や意思決定プロセスが複雑化した場合には、運営面で新たな課題が生じることも考えられる。
今後はOT GROUPが掲げる「Awaken the Senses」と「Discover the Difference」の理念を軸に、どこまでブランド価値を高められるかが注目できる。
スポーツ用品メーカー発のブランドがグローバルラグジュアリー市場で存在感をさらに強められるか、その成果が今後の再編効果を測る重要な指標になりそうだ。
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