NTTグループは衛星ブロードバンド通信サービス「Amazon Leo」との協業拡大を発表した。国内の法人・官公庁向け提供を見据え、グループ3社が再販事業者契約を締結した。
Amazon Leoの国内提供へ前進
2026年6月11日、NTTグループは、Amazonの低軌道衛星通信サービス「Amazon Leo」との協業拡大を発表した。
NTTドコモビジネス、エヌ・ティ・ティ エムイー、NTTメディアサプライの3社は、2026年6月9日までにAmazon Leoとの再販事業者契約を締結している。
今回の契約は、2023年11月にNTT、Amazon、スカパーJSATが発表した戦略的協業の具体的な進捗にあたる。今後は技術検証やサービス内容の検討を進め、日本国内の法人および官公庁向けに提供体制を構築していく方針だ。
背景には、災害時の通信断や老朽化する地上インフラへの備えがあり、地上に依存しない通信として宇宙ネットワークの活用の重要性が高まっているという。
NTTグループはネットワークの分散化や衛星・通信設備の自社保有・運用を進めており、宇宙ネットワークを通信基盤の選択肢として組み込む狙いがある。
Amazon Leoは、数千規模の低軌道衛星(※)とセキュアな地上ネットワークを連携させ、小型高性能アンテナを通じて高速・低遅延通信を提供する計画である。
NTTは地上ネットワークやシステムインテグレーションの強みを組み合わせ、災害時バックアップ、離島・山間部の通信、モビリティやIoTなどの産業用途へ展開する方針だ。
※低軌道衛星:地表から比較的近い軌道を周回する人工衛星。静止衛星より通信遅延を抑えやすく、複数衛星を組み合わせることで広範囲をカバーしやすい。
地上と宇宙の融合が通信を変える
今回の協業拡大は、衛星通信を非常時の代替手段にとどめず、企業や公共機関の常設インフラの一部へ近づける動きと位置づけられる。特に災害が多い日本では、地上回線に依存しない接続手段を持つことが事業継続計画や行政サービス維持の面で大きな意味を持つ。
メリットは、通信エリアの拡張と冗長性の向上にある。光回線やモバイル網の整備が難しい遠隔地でも、衛星ブロードバンドを組み合わせれば、監視カメラ、遠隔保守、建設・物流・海上通信などの用途を広げやすくなる。
NTTドコモ基地局のバックホール回線への活用も想定されており、重要通信インフラの強靭化につながる可能性がある。
一方で、サービス品質、料金、端末設置、規制対応などは今後の検証課題となる。低軌道衛星は低遅延が期待されるが、企業向けの基幹回線として利用するには、稼働率や保守体制、地上網との切り替え設計が問われる。
NTTグループは宇宙ビジネスブランド「NTT C89」のもと、非地上系ネットワークと地上ネットワークの融合を進める。Amazon Leoの再販はその入口であり、日本の通信インフラが地上中心から宇宙を含む多層型へ移行する象徴的な一歩になると考えられる。
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