米司法省ニューヨーク南部地区連邦検事局は、Google社員のMichele Spagnuolo氏を米商品取引法違反の容疑で訴追したと発表した。
予測市場Polymarketで社内の非公開情報を使い、120万ドル超の利益を得た疑いがある。
Google内部情報で予測市場に賭けか
2026年5月27日の米当局の発表によると、訴追されたSpagnuolo氏はGoogleのソフトウェアエンジニアであり、業務上、社内データシステムや非公開データにアクセスできる立場にあった。
対象となった内部ツールには「Google Confidential」と記された表示があり、同氏はGoogleの守秘義務や倫理規程を理解していることも認証していたとされる。
訴状で主張されている核心は、同氏がこのアクセス権を使って得たGoogle関連の非公開情報を、予測市場(※)での取引に利用したという点だ。
Spagnuolo氏は2024年5月にPolymarket上で「AlphaRaccoon」というアカウントを作成し、2025年10月15日ごろから同年12月4日ごろにかけて、Googleの内部情報に関係する市場に約275万4092ドルを投じたとされる。
その後、Google関連の情報が公表され、各市場の結果が確定すると、AlphaRaccoonアカウントは内部情報をもとにした賭けによって約120万ドルの利益を得たとの説明だ。
Spagnuolo氏には商品取引法違反、通信詐欺、マネーロンダリングの各罪が問われている。なお、訴状の記載は現時点では主張であり、事実認定は今後の司法手続きに委ねられる。
※予測市場:選挙結果、企業発表、政策判断など将来の出来事について、参加者が結果を予想して売買する市場。価格は集団的な予測確率を反映するとされる一方、内部情報の利用や市場操作が問題になりうる。
予測市場の成長に規制リスクも
今回の事件が示すのは、予測市場が単なる娯楽的な賭けの場から、企業情報や金融規制と密接に結びつく領域へ移りつつあることだ。
予測市場には、多様な参加者の見方を価格に集約し、ニュースや政策、企業動向に対する市場の期待を可視化できるという強みがある。
AIなどのIT領域では、技術発表や規制判断の影響が大きく、予測市場が情報発見のインフラとして機能する余地はある。
しかし、Polymarketのようなサービスでは、株式そのものを売買しなくても、企業の製品発表や業績に影響する情報をもとに利益を得られる可能性があり、リスクや不正の危険は高い。従来の証券市場を前提としたインサイダー取引規制の感覚だけでは、リスクを捉えきれない局面が増えると考えられる。
また、企業内部のアクセス権を持つ人物が参加すれば、公平性は一気に損なわれかねない。特に予測市場は匿名・仮名での参加が広がりやすく、アカウント名の背後にいる人物や情報源を外部から確認しにくい面がある。
今後は、プラットフォーム側の監視体制、企業側の情報管理、当局による執行の三つが同時に問われることになるだろう。今回の訴追は、予測市場にもより規律が求められる段階を示す事例と言える。
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