Web3関連企業であるFutaba Labグループは、クロスチェーン流動性インフラを提供するLI.FIの「LI.FI Intents」にSolverとして参画を開始したと発表した。
多数の流動性ソースやクロスチェーン接続実績を持つLI.FIネットワークを活用し、金融機関や事業会社向けのデジタルアセット実行基盤の構築を進める。
LI.FI連携でクロスチェーン実行基盤を拡張
Futaba Lab株式会社および子会社ANDLAW FZCOは、LI.FIが提供する「LI.FI Intents」において、Solver(※1)としての取引実行体制の構築を開始したことを、2026年5月27日に発表した。
LI.FIはドイツ・ベルリンに本社を置くクロスチェーン流動性インフラ企業であり、これまでに1,000以上のインテグレーションパートナーを通じて、累計800億ドル超、日本円換算で約13兆円規模の取扱高と1億件超のトランザクションを処理してきた実績がある。
一方、Futaba Labグループはこれまで、複数のCEXやDEXを横断した価格分析、ヘッジ、流動性管理などを進めてきた経歴がある。
同社は、今回のSolver参画により、複数流動性ソースを活用したルーティングや在庫管理、リスク制御を含む実行基盤の高度化を図る方針である。
本件の背景には、ステーブルコインやRWA(※2)、トークン化資産の拡大がある。
デジタルアセット市場は暗号資産ネイティブな領域から、決済や金融商品など実社会寄りの用途へ広がり始めている。
そのため、金融機関や事業会社がデジタルアセット市場を活用するためには、単なる接続機能にとどまらず、価格、手数料、スリッページ、実行速度、リスク管理を総合的に考慮できる取引実行基盤が求められているという。
※1 Solver:ユーザーの取引条件に対し、最適な経路や流動性を探索し、実際の取引実行を担う仕組みや事業者。クロスチェーン取引では価格、手数料、速度などを総合的に最適化する役割を持つ。
※2 RWA:Real World Assetsの略。不動産や債券、コモディティなど現実資産をブロックチェーン上でトークン化し、取引可能にする仕組み。
金融実装進む一方、運用リスク管理が鍵に
今回の取り組みは、企業側が個別チェーン仕様や流動性管理を意識せずにデジタルアセットを扱うための環境整備につながる可能性がある。
従来のオンチェーン取引は、チェーンごとに流動性や仕様が分断されており、企業側に高度な技術対応が求められていた。しかしSolverなどの取引実行インフラが整備されれば、複雑なクロスチェーン処理をインフラ側で吸収できるため、導入障壁の低下につながると考えられる。
今後は、ステーブルコイン決済やトークン化証券の利用拡大に伴い、複数チェーンを横断した資産移動や流動性確保を行えるかが重要になると考えられる 。
実行品質やルーティング精度が向上すれば、従来金融とオンチェーン金融の接続が進み、Web3技術の社会実装が加速する余地もある。
一方で、クロスチェーン市場には依然として技術的リスクが残る。ブリッジ障害やスマートコントラクト脆弱性、流動性不足による価格乖離などは業界全体の課題であり、Solverには高度な在庫管理やヘッジ運用が不可欠になる。
実行インフラの重要性が増すほど、障害発生時の影響範囲も拡大しやすくなるだろう。
さらに、金融機関向けインフラにはコンプライアンス対応や監査体制も求められるはずだ。
クロスチェーン実行基盤が金融領域へ本格浸透するかどうかは、技術面だけでなく、運用信頼性や規制適合性をどこまで確保できるかが焦点になりそうだ。
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