米ブルームバーグは中国AI新興DeepSeekが約700億元の資金調達を巡り、短期収益より研究開発を優先する方針を投資家候補に伝えたと報じた。創業者の梁文鋒氏はオープンソース開発の継続も強調している。
DeepSeek、AGIと研究優先を明言し大型調達
ブルームバーグが2026年5月22日に報じた内容によると、中国AI企業DeepSeekは現在、700億元(約1兆6000億円)規模の資金調達を進めている。
複数の関係者によると、投資前評価額は約450億ドル(約7兆1600億円)に達する可能性があり、中国テック業界でも最大級の大型調達になる見通しだ。
創業者の梁文鋒氏は、投資家向け会合でAGI(※)の実現を長期目標として掲げ、オープンソースAIモデルの開発を継続する方針を説明したという。
梁氏はヘッジファンド業界出身として知られ、短期利益よりもAI技術そのものの進化を優先する姿勢を明確に示したとされる。
投資家候補には、中国政府系の国家人工知能産業投資基金のほか、テンセント、IDGキャピタル、モノリス・キャピタルなどが含まれる。
関係者によれば、政府系基金は約100億元規模の出資を検討しており、中国政府がDeepSeekを重要なAI企業として位置付けている可能性も浮上している。
DeepSeekは2025年、低コスト型AIモデルによってシリコンバレーに衝撃を与えた企業として急速に存在感を高めた。中国勢によるオープンソース戦略は、アリババのQwenなどにも広がっており、高いアクセス性を武器に世界市場で利用が拡大している状況だ。
※AGI:Artificial General Intelligenceの略。特定用途に限定されず、人間のように幅広い知識や判断能力を持つ汎用人工知能を指す。
研究重視路線は競争力強化につながるか
DeepSeekの姿勢は、短期収益より技術革新を優先する点で、現在のAI業界では異色とも言える。OpenAIやAnthropicが商用サービス拡大や新たな収益源の確保を急ぐ中、研究を優先する戦略は技術革新を加速させる余地があると考えられる。
特にオープンソース路線を維持する点は、開発者や企業による利用拡大につながる可能性がある。利用障壁が下がれば、中国発AIモデルの国際的な浸透力がさらに高まり、米国主導だったAI市場の競争構造にも変化を与えるかもしれない。
一方で、大規模なAI開発では継続的な計算資源投資が避けられないだろう。
収益化を後回しにした場合、景気悪化や投資環境の変化によって資金調達への依存度が高まり、経営面の不安定さにつながる懸念も残る。
また、中国政府系資金の関与が強まれば、海外市場では地政学リスクへの警戒感が意識される可能性もある。
今後は、研究優先モデルが長期的に競争力へ結び付くのか、それとも収益基盤の弱さが課題となるのかが注目点になりそうだ。
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