エン株式会社は派遣求人サイト「エン派遣」の2026年4月度平均時給レポートを公表した。日本の三大都市圏における平均時給は1,713円となり、前年同月比で43ヵ月連続の上昇を記録。DXやAI導入の拡大を背景に、事務系やIT系職種で過去最高時給が相次いだ。
DX・AI需要で事務系時給が最高更新
2026年5月20日にエン株式会社が発表したレポートによると、2026年4月度の三大都市圏における派遣社員の平均時給は1,713円となり、前月比で5円、前年同月比では11円上昇した。前年同月を上回るのは43ヵ月連続となる。
特にオフィスワーク・事務系は平均1,696円を記録し、前年同月比で41円増加。過去最高時給を更新した。
例年4月は新年度開始後で求人数が落ち着きやすい時期だが、今年は欠員補充を目的とした経験者採用が増加し、高時給案件の割合が上昇した。
背景には企業によるDX(※)推進やAI導入拡大がある。
従来は人手で処理していた単純作業の自動化が進んだことにより、業務難度にあわせて時給を引き上げて募集する動きが増え、時給水準全体の底上げにつながったという。
IT・エンジニア系でも平均時給は2,720円となり、こちらも過去最高を更新した。
「データベースエンジニア」は平均3,527円、「PM・PMO」は3,569円となっている。企業のAI導入プロジェクト拡大に伴い、上流工程を担う専門人材の求人も増えた。
また、派遣会社による教育支援制度の認知不足も浮き彫りになった。
エン派遣の調査では、「無料の教育訓練制度」を38%が「知らなかった」と回答している。
※DX:デジタルトランスフォーメーションの略。デジタル技術を活用し、業務や組織構造を変革する取り組み。
専門人材争奪で広がる賃金格差の行方
今回の時給上昇は、派遣労働市場において専門スキルの価値が急速に高まっていることを示していると言える。AIやDX関連知識を持つ人材に対しては、派遣でも報酬を引き上げてでも確保したいという企業姿勢が鮮明になりつつある。
求職者側にとっては、スキル習得によって待遇改善やキャリア拡大を狙いやすくなる点が大きなメリットとなるだろう。
一部のAIツール運用やデータ活用業務では、比較的短期間の学習から実務へ接続できるケースもあるため、未経験領域への転換機会を生み出す可能性がある。
一方で、スキル格差による待遇差拡大は避けられない課題になりそうだ。
AI活用を前提とした業務設計が進めば、従来型の定型事務だけでは高時給を維持しにくくなる可能性がある。企業側でも、高度人材への報酬競争によって採用コストが膨らみ、中小企業ほど人材確保が難航するリスクが高まると考えられる。
今後は、派遣会社の役割も変化していくだろう。
単なる求人仲介ではなく、教育訓練やキャリア形成支援を含めた「人材育成インフラ」としての機能が求められるようになるかもしれない。
関連記事:
若年層アルバイトの4割がスキマバイト経験 即時給与が仕事選びで重要視される傾向
