中国AI新興企業「Manus(マナス)」の共同創業者らが、米メタによる20億ドル超の買収契約を解消する方法を検討しているとブルームバーグが関係者の話として報じた。
中国当局の命令を受けたことによるもので、約10億ドル規模の資金調達や香港IPO構想が浮上している。
中国当局がメタ買収解消命令 マナスは独立維持か
中国発のAIスタートアップ「Manus」は、汎用AIエージェント(※)を開発する企業である。米メタ・プラットフォームズは2025年12月、このマナスを20億ドル超で買収すると発表していたが、中国当局の介入によって計画は大きく揺らいでいる。
2026年5月21日のブルームバーグの報道によれば、中国当局はこの取引について、対外投資や技術管理に関するルールへ抵触する可能性があるとして調査を開始し、メタに対して買収解消を命じたという。
これを受けマナスの共同創業者3人は、外部投資家から約10億ドルを調達し、メタ保有株を買い戻す案を検討している。資金調達はメタ買収時に近い企業価値を前提に進められる方向で、不足分は創業者側が自己資金を投入する可能性もあるという。
また、新たな出資受け入れによって企業体制を合弁会社型へ転換し、将来的には香港市場でのIPOにつなげる構想も浮上している。
※汎用AIエージェント:特定用途に限定されず、複数のタスクを自律的に処理できるAIシステム。近年は生成AIの発展に伴い、検索や分析、実行まで一括で担う次世代AIとして注目されている。
AI主権強化の象徴に 香港IPO実現なら中国AI勢拡大も
今回の一件は、中国がAI分野でも「技術主権」を強めていることを象徴する事例となりそうだ。
これまで中国政府は半導体やクラウド、データ領域で海外依存の低減を進めてきたが、生成AIについても同様の管理姿勢を鮮明にし始めていると言える。
マナスが独立を維持した場合、中国国内では「海外巨大IT企業に依存しないAI企業」としてブランド価値を高める可能性がある。特に香港IPOまで実現すれば、中国系AI企業への大型資金流入が加速し、アジア市場におけるAI投資熱を押し上げる要因になり得る。
一方で、海外投資家にとっては大きなリスク要因となるかもしれない。
事業性や市場価値が高くても、国家安全保障や規制判断によって大型M&Aが覆る前例が増えれば、クロスボーダー投資への慎重姿勢が強まる可能性がある。特にAIや半導体のような戦略技術分野では、企業同士の合意だけでは取引成立が保証されない状況になりそうだ。
また、メタのような米巨大IT企業にとっても、中国AI企業への直接投資ハードルは今後さらに高まると考えられる。その結果、米中双方が独自エコシステムを形成し、AI市場の分断が進む可能性もある。
今後は技術力だけでなく、各国政府との関係性や規制対応能力そのものが、AI企業の成長を左右する重要要素になっていきそうだ。
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MetaとManusの連携で何が変わるのか?
