中国国家発展改革委員会が、米メタによる中国発AI企業Manusの買収を認めないと発表し、取引撤回を命じたことが明らかになった。
国家安全保障審査に基づく外国投資禁止措置であり、AI分野への規制強化が示された。
中国、メタのAI買収を禁止し撤回命令
2026年4月27日、ロイターは中国国家発展改革委員会が米メタによるManusの買収を法令に基づき禁止し、関係当事者に撤回を命じたと報じた。
声明では特定企業名への言及は避けられたが、実質的にメタ案件を対象とした措置とみられる。
メタは同日、取引は適用法令を完全に順守しているとし、調査について適切な解決を見込んでいると述べた。
同社はAIエージェント開発の強化を目的にManusを買収している。買収は2025年12月に発表され、中国商務省は2026年1月、買収完了の数日後に調査を開始した。
Manusは2025年5月に米ベンチャーキャピタル主導で7500万ドルの資金調達を完了した後、同年7月に中国オフィスを閉鎖し従業員を解雇した。その後、事業をシンガポールに移転し、親会社バタフライ・エフェクトも同地で再法人化されている。
これにより米国の投資規制と中国の資本・知財移転規制の双方を回避可能とされていた。
ただし、中国がシンガポール拠点企業の関与する取引にどのような根拠で撤回を求めるか、また完了済み買収をどう扱うかは明らかになっていない。
審査過程ではCEOの肖弘氏と首席科学者が出国禁止となった一方、スタッフはメタのシンガポール拠点に移り、プロジェクトは進行していると関係者が明らかにしている。
AI規制強化の功罪と企業戦略への影響
今回の措置は、国家安全保障の観点から技術流出を抑制し、重要分野の国内管理を強化する方向に働く可能性がある。AIのような戦略産業においては、研究成果や人材の国外流出を防ぐことで、長期的な競争力維持につながると考えられる。
一方で、越境投資や国際的な技術連携の自由度が低下するリスクも否定できない。特にスタートアップにとっては資金調達やM&A機会が制約され、成長の停滞を招く恐れがある。
企業側にとっては、単純な買収戦略に代わり、規制リスクを織り込んだ共同開発や段階的投資など柔軟なスキームの構築が求められるだろう。結果として、資本移動よりも技術提携を軸とした競争環境へ変化していく流れが強まりそうだ。
AIが米中間の戦略競争の中心に位置付けられる中、今後は規制対象がさらに拡大していくことも予想される。半導体に続きAIにも及んだ今回の対応は、国際的な技術投資環境を左右しうる象徴的な動きといえるだろう。
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