アンカー・ジャパンなどモバイルバッテリーメーカー7社と、NTTグループ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルなどの通信事業者は、日本国内の大規模災害時における電源支援の連携協定を締結した。
2026年6月1日から、メーカーが機材を提供し、通信事業者が避難所などへ配送する体制を開始する。
通信大手とメーカーが災害時電源支援で連携
2026年5月18日、アンカー・ジャパン、INFORICH、EcoFlow Technology Japan、エレコム、オウルテック、CIO、ユーグリーン・ジャパンのモバイルバッテリーメーカー7社と、「つなぐ×かえるプロジェクト(※)」に参画する通信事業者各社は、大規模災害時の被災地支援に関する連携協定を締結した。運用開始日は2026年6月1日である。
協定では、災害発生時にメーカー側がモバイルバッテリーや充電ケーブルなどの電源機材を調達・提供し、通信事業者側が被災状況や現地ニーズに応じて、避難所などへ配送する役割を担う。
提供機材には使用方法や問い合わせ窓口、返却方法を記載したチラシも付属する予定だ。
背景には、災害時における電源確保の重要性の高まりがある。近年はスマートフォンが安否確認や情報収集、行政連絡の基盤となっており、通信環境だけでなく、端末を継続利用するための充電手段も生活インフラの一部になりつつある。
一方、メーカー各社は被災地支援を行ってきたものの、単独で広域配送まで対応することが難しい場合があった。
これに対し、通信事業者は通信復旧支援や避難所対応を通じて現地ネットワークを持つ。
そこで本協定では、両者の役割を組み合わせることで、被災地への支援体制の強化を図る。
また、各社は避難所支援に関する情報発信の様式も共通化する。
今後は合同訓練の実施や参加企業の拡大も検討されている。
※つなぐ×かえるプロジェクト:通信事業者各社が参加する災害支援の連携枠組み。被災地における通信環境や支援活動の強化を目的とし、企業間で役割分担や協力体制の構築を進めている。
災害支援の即応性向上へ 運用継続性が課題に
今回の取り組みは、災害支援において「通信」と「電源」を一体的に扱う動きとして注目できる。
通信網が復旧していても、利用者側の端末に電源がなければ情報取得や連絡は困難になると思われるが、避難所で安定的に充電環境を確保できれば、被災者の不安軽減や情報アクセスの維持につながる可能性がある。
また、民間企業同士の連携によって、行政支援を補完するモデルとして機能する余地もある。
通信事業者の物流・現地対応能力と、メーカーの製品供給力を組み合わせる仕組みは、従来の単独支援より機動力を高める要素になり得る。
一方で、実効性は運用体制に左右されるだろう。
提供機材は被災地の要望や各社の在庫状況を踏まえて決まるため、広域災害や長期化した被害に対して十分な供給量を維持できるかは今後の検証課題になると考えられる。
さらに、配送先の選定や返却管理、利用方法の周知など、現場運用には細かな調整も求められるはずだ。
各社が予定する合同訓練や情報発信の共通化において、実災害時の混乱低減にどこまで寄与できるかが、今後の制度定着の鍵になるかもしれない。
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