海外のブロックチェーン関連団体であるソラナ財団が、グーグルクラウドとの協力によりAIエージェント向けAPI決済基盤「Pay.sh」を公開した。
AIがAPI利用料を自律的に支払える仕組みであり、従来のAPI認証や請求管理のあり方を変える可能性がある。
AIがAPIへ直接支払い Pay.sh始動
2026年5月5日にソラナ財団が発表した「Pay.sh」は、AIエージェントがAPIを検索し、アクセスし、その利用料金をリアルタイムで決済できるゲートウェイサービスである。
決済にはソラナブロックチェーン上のステーブルコインが利用され、従来必要だったアカウント作成やAPIキー管理、サブスクリプション契約などを省略できる点が特徴だ。
現在のAPIサービスは、人間の利用を前提として設計されているケースが多い。利用者は事前登録を行い、クレジットカードや請求契約を紐付けたうえでAPIキーを発行する必要があった。
一方、Pay.shでは「支払いそのものを認証として扱う」仕組みを採用しており、AIエージェントが利用分だけ自律的に決済できる構造へ転換を図っている。
対応サービスには、グーグルクラウドのGemini、BigQuery、Vertex AI、Cloud Runなどが含まれる。また、Claude CodeやCodex、OpenClawなどのAIインターフェースとも接続可能であり、AIが外部サービスを横断的に利用する環境構築を狙う。
さらに、同基盤はx402(※1)およびMPP(※2)といった機械向け決済規格にも対応する。加えて、Dune AnalyticsやNansen、Alchemyなど50以上のコミュニティAPIファシリテーターとも連携しており、AIエージェントが必要な時に必要なAPIだけを購入する「都度払い型」の利用モデルを推進する構えだ。
※1 x402:Coinbaseが開発したHTTPベースのインターネット決済プロトコル。APIアクセス時に暗号資産決済を組み込める仕組みで、現在はLinux Foundation傘下のx402 Foundationが管理している。
※2 MPP(Machine Payments Protocol):StripeとTempoが共同策定した機械向け決済規格。AIエージェントなど機械向けを想定している。
AI経済圏拡大も 認証・安全性は課題
Pay.shの登場は、AIエージェント同士が自律的にサービスを利用し、支払いを完結させるAI経済圏の形成を後押しする可能性がある。
生成AIの普及に伴い、AIが外部データベースや解析サービスをリアルタイムで呼び出す需要は増加しており、その決済インフラ整備の価値は高い。
従来のサブスクリプション型APIでは、利用頻度が低い場合でも固定費が発生する。一方、Pay.shのような従量課金型モデルが普及すれば、小規模開発者やAIスタートアップでも必要最小限のコストで高度なAPIを利用しやすくなると考えられる。
ブロックチェーン決済を介することで、国境をまたいだ利用障壁が低下する点も利点と言える。
ただし、AIエージェントが自律的に支払いを行う場合、不正利用や誤作動時の責任範囲をどう整理するかは依然不透明である。
また、APIアクセスを暗号資産ウォレットに依存する構造は、秘密鍵管理やウォレット流出リスクとも隣り合わせになる。
とはいえ、AIとブロックチェーンを組み合わせた「機械同士の経済活動」を実運用レベルへ近づけた点で、今回のPay.sh公開は大きな意味を持つ。
今後は他クラウド事業者や決済企業が同様の分野へ参入する可能性もあり、AI時代のインターネット基盤競争が加速することになりそうだ。
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