北陸電力株式会社は、富山県で同社初となる社内起業制度による新会社「北陸電力Visual AI Solutions株式会社(北電VISION)」を設立すると発表した。
画像認識AIを活用し、クマなどの害獣検出や道路損傷確認を自動化するサービスを全国展開する方針である。
害獣検知と道路点検をAI化
2026年4月28日、北陸電力は富山県内に新会社「北陸電力Visual AI Solutions株式会社(北電VISION)」を設立すると発表した。
設立は2026年7月を予定しており、画像AI技術を活用した自治体向けサービスを提供する新会社となる。本店は富山市の北陸電力新価値創造研究所内に置かれる。
主力サービスの一つが、害獣の自動検出AI通報システム「Bアラート」である。
トレイルカメラの映像をAIが解析し、対象を検知すると自治体関係者へ自動通知を行う仕組みだ。不要な画像確認作業を減らし、初動対応時間の短縮につなげる狙いがあるとされる。
同システムは2021年に富山県で実証実験を開始した後、石川県や福井市など北陸3県の自治体を中心に導入が広がった。現在は北陸以外も含め21自治体で導入され、全国で約300台のカメラが設置されている。
もう一つのサービス「Rチェッカー」は、道路パトロール車に搭載したスマートフォンで撮影した道路画像から、ひび割れなどの損傷を自動検出するシステムである。2025年3月から福井県で実証導入が始まり、現在は約20台が稼働している。
北陸電力は今後、全国自治体への導入拡大を目指す方針である。
自治体DXを後押しする可能性と課題
今回の取り組みは、地方自治体が抱える人手不足や高齢化への対策としても関心を集めそうだ。
特に獣害対策では、夜間監視や通報対応の負担が大きいとされる。AIによる自動検知が普及すれば、限られた職員でも広範囲を効率的に監視できる可能性が高い。
道路点検分野でも、スマートフォンを活用した低コスト運用は導入障壁を下げる要素になりうる。画像解析を組み合わせることで、損傷箇所の見落とし防止や点検時間短縮にもつながると考えられる。
一方で、AI検知には誤認識といったリスクも残る。
誤通報が頻発すれば現場負担が増す懸念もあり、継続的な精度改善が重要になるとみられる。地域ごとの自然環境差への対応も課題となるだろう。
それでも、既存インフラ企業がAIサービス事業へ進出する流れは今後さらに強まる可能性があり、地域課題の解決と新たな収益源の両立を模索する動きが広がるかもしれない。
地方発の実用型AI事業として全国展開できるかが焦点になりそうだ。
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