2026年4月15日、日本のNTTドコモビジネスは沖縄県那覇市と連携し、コミュニケーションAIを活用した行政窓口案内の実証実験を開始すると発表した。人口減少下でも案内品質を維持する新たな自治体DXの形が問われる。
AI窓口案内、那覇市で実証開始
NTTドコモビジネスは、那覇市と締結した連携協定に基づき、コミュニケーションAIを活用した行政窓口案内サービスの実証実験を2026年4月20日から開始する。実施期間は5月21日までで、那覇市役所本庁舎1階にて運用される。
本実証では、デジタルヒューマン「Digital Catalyst CONN」を設置し、来庁者からの問い合わせに対して音声で応答する。生成AIを活用し、行政手続きの内容に応じて適切な窓口を案内する仕組みであり、従来の有人対応の一部を代替することを目的とする。
背景には、少子高齢化の進展と生産年齢人口の減少による自治体職員の不足がある。窓口業務は問い合わせ対応の増加により負担が高まっており、持続可能な運営体制の構築が課題となっている。一方で、市民からは分かりやすさや安心感のある対応への期待が依然として高く、単純なデジタル化では対応しきれない側面もあった。
こうした状況を踏まえ、対話型のコミュニケーションAIを活用することで、案内品質を維持しながら業務負荷を抑制できるかを検証する。NTTドコモビジネスは本実証を通じて得られたデータをもとに、今後の行政サービス全体への展開可能性を探るとしている。
効率化と信頼性、両立が鍵に
今回の取り組みは、行政窓口における効率化と市民体験の向上を同時に実現する可能性がある。AIが一次対応を担うことで、職員は複雑な相談や判断業務に集中できるようになり、全体の生産性向上につながると考えられる。
また、デジタルヒューマンによる対話形式は、従来のチャットボットと比べて直感的に利用しやすいとされる点が特徴の一つである。特に高齢者などデジタルに不慣れな層にとっても、対面に近い体験が提供されることで、行政サービスのアクセシビリティ向上が期待できる。
一方で、AIによる案内の正確性や最新性を維持するためには、適切な運用体制の整備が重要になる。誤案内が発生した場合の責任範囲や、最終判断を誰が担うのかといったガバナンス面の課題も残る。さらに、すべての問い合わせをAIで代替できるわけではなく、人とAIの適切な役割分担が求められる可能性がある。
今後は、本実証の成果を踏まえた横展開が進む可能性がある。人口減少が進む中で、コミュニケーションAI(※)は自治体運営の基盤技術の一つとなる余地があるが、その定着には技術だけでなく運用設計や市民の受容性が大きく影響すると考えられる。
※コミュニケーションAI:音声やテキストによる対話を通じて利用者の質問に応答するAIシステム。事前に登録された情報や生成AIをもとに、自然な会話形式で案内やサポートを行う技術。
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