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KDDIと京大、宇宙空間で6万km通信可能なレーザー開発に成功

PlusWeb3 編集部
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2025年11月26日、KDDI総合研究所と京都大学の研究グループは、宇宙光通信向けの周波数変調型フォトニック結晶レーザーの開発に成功したことを発表した。従来比で約2倍の通信距離となる6万kmまでの長距離通信を、光増幅器なしで実現できることが実証された。

フォトニック結晶レーザーで宇宙長距離通信を実証

研究グループは、従来の多数の光学素子を必要とする宇宙用光送信機を、単一の半導体レーザーで置き換える技術を開発した。
新たなレーザー内部には、わずかに共振周波数が異なる2つのフォトニック結晶を配置し、注入電流を高速で制御することで発振周波数の変化幅を2倍に広げた。

さらに、両結晶への注入電流合計を一定に保つことで、光強度の変動を抑制し、通信時の雑音を従来比1/16に低減できることも確認された。この仕組みにより、宇宙空間での模擬実験では少ない電力で約2倍の距離まで光増幅器を使わず通信可能となった。

開発したレーザーを用いた自由空間光通信実験では、伝送速度0.5/1Gbpsにおいて、出射光強度を88dB(約6.3億分の1)/81dB(約1.3億分の1)に減衰させても通信が成立した。これにより、静止軌道衛星と低軌道衛星間通信に相当する距離での実用性が示された。

研究グループは、さらに光源の大面積化により出力増大や伝送速度向上の可能性も理論的に確認している。今後は月・地球間38万kmの大容量通信への適用を視野に、光送信機の高出力化・高速化の開発を進める方針である。

今回の研究は、日本学術振興会の科学研究費助成事業やJAXA宇宙戦略基金の支援を受けて推進されたものだ。研究成果は2025年10月14日に英国科学誌Nature Photonicsのオンライン版で公開されており、同誌12月号に掲載予定である。

超小型衛星搭載と将来展望、宇宙通信の波及効果

本技術により、衛星搭載型光送信機の小型化と軽量化が現実味を帯びつつある。
従来大型化が避けられなかった光通信機器をワンチップ化でき、超小型衛星への搭載も容易になる。この結果、低コストで広域な宇宙ネットワークの構築が期待できる。

周波数変調型レーザーの高感度特性は、宇宙光通信以外の応用にも広がる可能性がある。高精度な光測距が可能になれば、地球規模での観測・測定技術の向上や産業用センサーの性能強化にもつながると考えられる。

一方で、長距離光通信には光学系の安定性や宇宙環境への耐久性の確保が不可欠であるため、耐放射線性や温度変化への対応は今後の課題と言える。通信速度のさらなる高速化も慎重な検証が求められるだろう。

将来的には、周波数変調型レーザーによる効率的通信が地球規模の情報インフラ拡張や宇宙ビジネスの加速に大きく貢献する可能性が高い。6G時代に向けて、宇宙空間が新たな通信舞台として注目されることになりそうだ。

株式会社KDDI総合研究所 プレスリリース

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