国内IT大手のDeNAは、新規事業創出に特化する子会社「BAKERU」を8月17日付で設立したと発表した。
小規模な仮説検証を高速で回し、売上100億円、営業利益10億円以上に成長する事業をゼロから生み出すことを目指す。
新会社で新規事業創出を高速化
2026年9月2日に設立が発表されたBAKERUは、DeNAが掲げる「Delight創造エコシステム」において、新規事業創出を担う専門子会社である。
2026年8月17日付で発足し、スタートアップスタジオ(※)として、DeNAの資本、人材、技術、事業開発の経験を活用し、小さな仮説を素早く検証して成長可能性の高い事業を育てる。
設立の狙いは、新規事業開発における意思決定と組織運営の機動性を高めることだ。
顧客インタビューや海外市場、技術動向の調査から課題を見つけ、最小限のプロダクトで需要を検証し、手応えが得られれば次の段階へ進む。
再現性のある成長が確認できれば、事業規模の拡大へ移行する流れとなる。
BAKERUの母体は、これまでDeNAのイノベーション事業本部で新規事業創出を担ってきた部署で、すでに約10件の案件が進行している。
既存の知見を引き継ぎつつ、特定分野に限定せず、多様な領域で事業化を進める方針だ。
さらに、日本や米国を含む世界市場で事業を率いる責任者を社外からも募集する予定である。
社内人材だけに閉じない体制を整え、挑戦者が複数回にわたり新規事業へ取り組める環境づくりを進める。
※スタートアップスタジオ:新しい事業や企業を継続的に立ち上げる組織。資金だけでなく、人材、技術、事業開発の知見などを提供し、起業家や事業責任者とともにゼロから事業をつくる仕組みを指す。
大企業型の事業開発モデル定着が焦点
今回の子会社設立は、大企業が持つ経営資源とスタートアップ型の俊敏な事業開発を組み合わせる試みと言える。
DeNAは市場調査、データ分析、マーケティングなどの既存アセットを検証から成長まで活用できるため、単独のスタートアップにはないスピードで事業検証を進められる可能性がある。
一方、新規事業は仮説検証を重ねても必ず成功するとは限らない。
売上100億円、営業利益10億円以上という目標を実現するには、市場規模だけでなく、継続的に顧客を獲得できる収益モデルや、事業拡大に耐えられる組織づくりも求められる。
案件数を増やすだけではなく、撤退判断を含めた資源配分の精度が重要になるだろう。
そのため、個々の案件で得た知見を組織内に蓄積し、次の仮説検証や事業判断に反映できるかも重要なポイントになる。
成功事例だけでなく失敗要因まで共有できれば、検証速度の向上や同様の失敗を避ける効果が期待でき、新規事業創出の再現性を高める要素となり得る。
今後は、現在進行中の約10件からどのような事業が育ち、DeNAの既存事業に続く収益の柱へ成長するかが焦点となる。
BAKERUが掲げる高速な検証サイクルと外部人材の活用が成果に結びつけば、大企業による新規事業開発の一つのモデルとして注目されそうだ。
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