2026年8月4日、国内電線大手の古河電気工業は、生成AIの普及やクラウドサービス高度化に伴う通信需要拡大を受け、光ファイバおよび光ファイバケーブルの生産能力増強を発表した。米国・ブラジル・日本・インドで約1000億円を投じ、2028年度下期から順次稼働する計画である。
古河電工、AI時代に向け光通信設備を強化
古河電気工業は、光ファイバおよび光ファイバケーブルの生産能力を高めるため、固定資産への大型投資を実施すると発表した。投資総額は約1000億円を見込み、米国、ブラジル、日本、インドの4地域で製造設備や土地、建屋の整備を進める。
今回の投資対象となるのは、光伝送の大容量化に対応するローラブルリボンケーブルを中心とした製造設備である。生成AIの急速な普及やクラウドサービスの高度化により、世界的にデータセンター市場は拡大しており、特にハイパースケールデータセンター(※)では、高品質な光ファイバケーブルへの需要が中長期的に伸びると見込まれている。
古河電工は、足元でもローラブルリボンケーブルの受注環境が良好であり、今後の需要拡大を見据えて供給体制を強化する。今回の設備増強では、長期契約を含む顧客からの購入コミットメントも確認しており、安定的な需要を背景に生産能力の拡大を進める方針だ。
投資拠点は、米国のLightera LLC、ブラジルのLightera LatAm S.A.、日本のライテラジャパン、インドのBFFO社である。2028年度下期から各拠点で順次量産を開始し、ローラブルリボンケーブルの製造能力は2025年度末比でファイバ数量換算約2倍となる見込みである。
なお、今回の投資による2027年3月期の連結業績への影響は軽微としている。一方で、量産開始後は通信インフラ事業の売上拡大への寄与が期待される。
※ハイパースケールデータセンター:大規模なクラウド事業者やAIサービス企業が運営する巨大なデータセンター。大量のサーバーを備え、高度な計算処理や大規模データ処理を行う施設。
AIインフラ成長で競争力向上の機会に
今回の投資は、生成AI時代に求められる通信インフラ強化につながる取り組みになるとみられる。AIモデルの学習や推論処理では、大量のデータを高速に処理・転送する環境が求められる場面が多く、サーバーや半導体だけでなく、それらを結ぶ光通信網の重要性も高まっている。
古河電工にとっては、AIデータセンター市場の拡大を取り込むことで、光通信関連事業の成長機会を広げられる可能性がある。特に、高密度な通信を可能にするローラブルリボンケーブルの需要拡大は、同社が持つ技術力や製品特性を生かす機会になると考えられる。
また、複数地域に生産拠点を配置することで、各市場の需要変化への対応力向上や、供給網の安定化につながる可能性がある。AI関連投資が世界規模で進むなか、安定した通信部材の供給能力は、今後の企業競争力を左右する重要な要素になると考えられる。
一方で、AIデータセンター向けインフラ市場では、通信部材メーカー間の競争激化も予想される。需要拡大が期待される一方、顧客企業からは高性能化やコスト削減、安定供給への要求が強まる可能性があり、継続的な技術開発と生産効率の向上が課題になるだろう。
今後、生成AIの普及がさらに進めば、データ処理量の増加に伴って光通信インフラへの投資が拡大する可能性がある。古河電工の今回の増産計画は、AI社会を支える通信基盤の強化に向けた重要な取り組みの一つになると考えられる。
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