2026年7月26日、米調査団体Tech Transparency Project(TTP)が、Metaの中国広告パートナーであるGatherOneを通じ、FacebookやInstagram上でAIによる「ヌード化」アプリの広告が大量配信されていたと報告した。生成AIによる性的ディープフェイク拡散を巡り、Metaの広告管理体制が問われている。
GatherOne経由でAI裸化アプリ広告3万件超を確認
TTPの調査では、Metaの中国向け広告パートナーであるGatherOneが、AIを利用して人物画像を脱衣加工したり、性的な動画へ変換したりするアプリの広告配信に関与していたことが明らかになった。
Metaの広告透明性データベースを分析した結果、GatherOneまたは関連企業名を広告主・支払者として表示するFacebookページ210件が確認され、これらから合計3万800件のAI関連アプリ広告が配信されていたという。そのうち43ページでは、女性を裸に加工できる機能を持つアプリが宣伝されていた。
広告には、女性が服を脱ぐように見える画像や性的行為を連想させる表現が含まれており、Metaが禁止する性的ディープフェイクや露骨な性的コンテンツ広告に抵触する可能性がある。また、一部の広告では架空の人物名を使った偽アカウントが利用されていた。
問題となったアプリには、アップロードした写真から衣服を削除する「One-Click Undress」機能をうたうものも存在した。さらに、一部アプリの利用者レビューでは、未成年者を含む性的画像が作成された可能性を指摘する声も確認されている。
Metaは性的ディープフェイクを生成するアプリ広告について「ゼロトレランス(※)」方針を掲げている。しかし、TTPによれば、GatherOne関連広告の一部は削除されたものの、同ネットワークによる広告配信は継続していた。
背景には、中国企業がMetaの海外向け広告を出稿する際、認定広告代理店を経由する独自の仕組みがある。Metaにとって中国市場は重要な広告収益源であり、2024年には中国からの広告収入が183.5億ドルに達したとされる。
※ゼロトレランス:規則違反に対して例外を認めず、厳格に対応する方針。コンテンツ管理やセキュリティ対策などで用いられる。
AI広告拡大の裏で問われるプラットフォーム責任
今回の問題は、生成AIを活用したサービスが拡大する一方で、広告プラットフォームには新たなリスク管理が求められていることを示している。AIによる画像生成や編集技術は利便性を高める可能性がある一方、本人の同意なく性的画像を作成するなど、悪用による被害を拡大させる危険性も存在する。
企業にとってAI関連サービスは新たな市場機会となるが、利用者保護や適切な運営体制が不足すれば、社会的信用の低下につながる可能性がある。特に性的ディープフェイクのような領域では、技術の発展と安全対策を両立する仕組みづくりが重要になる。
今後、SNSや広告事業者には、広告削除だけではなく、広告代理店や出稿企業を含めた監視体制の強化が求められるだろう。AIによる自動検知と人による審査を組み合わせ、不適切なサービスが拡散される前に対応する仕組みが必要になる。
一方で、AI技術そのものを制限するのではなく、悪用を防ぎながら健全な活用を促すルール形成も重要である。Metaをはじめとするプラットフォーム企業は、広告収益の拡大とユーザー保護を両立できるかが問われる局面にある。
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