OpenSeaが新しいロイヤリティ制度を導入【国内・海外の反応と市場予測】
2022年1月をピークに、下火の状況が続くNFT市場。
そんな中、最大手NFTマーケットプレイスのOpenSeaが新しいロイヤリティ制度の導入を発表しました。
OpenSeaのロイヤリティ制度に関するニュース要約
OpenSeaは、手数料を強制的にクリエイターへと還元させるシステムを導入することを発表しました。
これにより、ロイヤリティーの設定をクリエイターがするものではなく、強制的にコントラクト上で設定し、行われる仕組みに。既存のプロジェクトも変化をする必要があるため、業界では、かなりの反響を呼んでいます。
参考になる見解として、Twitter上で24万人のフォロワーを獲得しているけんすうさんがTwitterのスレッドに情報をまとめてくれていたため、こちらを読むと内容が入ってきやすいと思います。
注意として、上記の「オンチェーンでロイヤリティの強制化を実装する」という解釈がありますが、これはほぼ不可能です。おそらく、オフチェーン(マーケットプレイス側)で設定されるでしょう。
今回のニュースのポイントは、「ロイヤリティを強制するということと、ロイヤリティを無くしているOpenSea以外のマーケットプレイスに出品できないNFTの仕様を公表した」ことにあります。
このOpenSeaの動きが「中央集権的だ!」と、Web3の分散化の精神に反するため、反響を呼んでいるようです。
OpenSeaがロイヤリティの方針を発表
2022年11月7日、市場の動向を受け、OpenSeaがロイヤリティについての方針を発表。
NFTを構成するコード(スマートコントラクト)でロイヤリティを強制する方向を示しました。
- ロイヤリティ支払いを強制するためのコードをgithubで公開
- このコードには、X2Y2やBlurなどロイヤリティをスキップするマーケットプレイスでの移転の禁止等が含まれる
- 11/9以降に新規発行されるコレクションは、このコードを含まない場合はロイヤリティを設定できなくなる
OpenSeaは、思想方針として「ロイヤリティを徴収すべきかどうかはクリエイターが決めるべきであり、市場動向よって判断されるべきではない」を掲げています。
しかし、すでに存在しているNFTは、追加でコードを組み込むことが難しく、ロイヤリティを強制させることはできないため、コミュニティを巻き込んだ抜本的な変化が求められます。
「既存のコレクションに対して12/8まではロイヤリティを発生させる仕組みを継続するが、それ以降の対応については検討中」としています。
別の方向として、ロイヤリティ支払いをスキップできる仕組みを導入する方向がほのめかされていますが、コミュニティと議論を進めて決めたいとしており、現在、discordやDMで意見を募集しています。
OpenSeaのロイヤリティに関する国内・海外の反応
今回のニュースを読む限り、OpenSeaがロイヤリティが発生する世界線を支持していることは分かります。この方針について、国内外から多くの賛否両論の意見が寄せられています。
【賛成派】NFTのロイヤリティ撤廃は、NFTのエコシステムの発展を阻止する -渋谷啓太さん引用-
microverse株式会社の代表でもある、渋谷啓太さんは、「ロイヤリティーはNFTの市場発展の大きな要素である」と語っており、OpenSeaの世界線とマッチした考えを述べています。
NFTのロイヤリティは、運営へと還元され、それらはNFTプロジェクトの原資となり、さらなるプロジェクトのサービスの進化へとつながり、そしてそれらは、NFT業界全体の発展へと還元されます。
渋谷さんが「賛成派」とは断言できないですが、ロイヤリティーを完全撤廃することには反対だと考えているようです。
では、反対派の意見も見てみましょう。
【反対派】NFTの最大の魅力を変更するのは、業界最大のラグプルかもしれない -John Knopf氏引用-
最も権威ある文化賞のひとつであるエミー賞にノミネートされた経歴を持つ写真家のJohn Knopf氏は、
「NFTを持つようになったきっかけは本来、NFT独自のロイヤリティーだった」と説明し、最大の魅力であるロイヤリティーシステムを変更するのは「この界隈で最大のラグプルと言えるしれない」と大きく批判しました。
ロイヤリティに関する市場の動向をデータから考察
今回のニュースを踏まえて、データや多くの引用記事を用いた市場分析を行っていきます。
多くの購入者は、手数料を払いたくないという指標が存在
実際、購入者は「クリエイターに収益を還元したい」と思っているのでしょうか?
データを見てみると、例えば、OpenSeaの場合、創作者へのロイヤリティは2割付近に収束するというデータ指標があります。
また、2022年9月にローンチされた、クリエイターへのロイヤリティを購入側が選択できるNFTマーケットプレイス「X2Y2」では、購入者の72%の人が「ロイヤリティーを払わない」を選択しています。
そして、2022年10月。MagicEdenやLooksRareほか他のマーケットプレイスもこの動きに追随しロイヤリティをゼロに設定し売り出します。
あたらしくローンチされ、人気となっているBlurは、デフォルトではロイヤリティが発生しない仕組みとなっています。(ロイヤリティをクリエイターに渡すインセンティブとして、トークンを発行するモデルを採用)
クリエイターにロイヤリティが還元され続ける仕組みは神話になりつつある!?
NFTインフルエンサーであり、4.7万人のTwitterフォロワーを抱えるmiinさんは、「クリエイターにロイヤリティが還元され続ける仕組みは、神話になりつつある」と語ります。
これは、クリエイターにロイヤリティーを還元しようとすると、結果的に購入者が手数料を負担することになる。手数料が増えると、購入者は、より安い手数料(もしくは、完全に無料)のマーケットプレイスに人が移行してしまう。
OpenSeaも現在、この状況下にあり、手数料をとるシステムを導入していることで、この他の手数料がより安いマーケットプレイス(SudoSwap、X2Y2、MagicEden、LooksRare、Blurなど)に人が流入し、取引量が低下しています。
実際のデータを見ても、ロイヤリティが発生しないNFTの取引が増えています。
特に11月にはいってから、Blurでの取引が増え、遂にずっと首位であったOpenSeaを取引量で凌駕する事態となりました。
「クリエイターに収益を還元し続ける」というWeb3的文化は、理想論ではあるものの、現実ではかなり厳しいものになりつつあるようです。
ただ、「ロイヤリティーの完全撤廃は、必ずしもNFTの持続可能性を意味していない」というのも、確かな事実です。NFT購入者に有利になりすぎてしまうと、結局はもとのクリエイターが搾取される構図に後戻りしてしまいます。
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参考文献
今回のニュース記事に使用した文献は以下になります。