2026年9月7日、韓国のサムスンメディソンが産婦人科向けAI超音波診断装置「HERA Z10」を発表した。同機はフラッグシップ機と共にシリーズを完成させ、AIワークフローにより精密検査時間を最大52%短縮する。
サムスンメディソン、AI超音波診断装置「HERA Z10」を発表
サムスンメディソンは2026年9月4日から7日までロンドンで開催された第34回国際産婦人科超音波学会(ISUOG)世界会議において、新機種「HERA Z10」を披露した。世界的な高年齢出産の増加や妊娠合併症の多様化を背景に、胎児評価だけでなく早期合併症予測や母体ケアの重要性が増している。
HERA Z10はフラッグシップ機HERA Z20の優れたAI機能を継承しつつ、画像の鮮明性を高める最新のビームフォーミング技術(※1)を融合させた。ローマ・サピエンツァ大学との共同臨床研究によると、搭載された「Live ViewAssist™」は妊娠中期における詳細な超音波検査の走査時間を最大52%削減する。さらに「EzStructure™」機能は主要計測における手動操作を最大71%削減し、医療従事者の負担を大幅に軽減する。
また、微細血管の血流を高解像度で捉える「MV-Flow 3D™」や、子宮筋腫等を自動計測する「FibroidVue™」などのAI支援機能を備え、ハイリスク妊娠における迅速な意思決定を助ける。会場ではGalaxy Tabを活用し、妊娠全期間の成長記録をスムーズに共有するデジタルソリューションのデモンストレーションも行われた。
※1 ビームフォーミング:超音波診断装置において超音波信号の送信や受信を精密に制御し、得られる画像の解像度や明瞭度を高める技術。
AI診断導入がもたらす臨床現場のメリットと将来の波及効果
今回のAI超音波診断装置の導入は、医療現場における業務効率化と診断精度の両立という大きなメリットをもたらすと期待される。検査時間が短縮されることで、1日あたりの対応件数増加や診療待ち時間の削減につながるだけでなく、自動計測機能によって測定の一貫性が担保され、医師の肉体的・精神的疲労が大幅に軽減される可能性がある。
一方で、高度なAIシステム依存による技術的な習熟の偏りや、導入初期におけるコスト負担が医療機関側の課題として考えられる。しかし、世界的な医療従事者不足が進むなかで、こうした手技の標準化と効率化を実現するテクノロジーの需要は今後さらに高まる見通しだ。
将来的には、産科診療の負担軽減にとどまらず、タブレット連携をはじめとしたデジタル synergy(※2)による患者体験の向上や、地域医療格差の解消に向けた次世代プラットフォームとして広く普及していく可能性が高い。
※2 synergy(シナジー):複数の要素やシステムが組み合わさることで、単独で得られる以上の相乗効果や価値を生み出すこと。
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