2026年10月15日、国内の株式会社グラファーは、兵庫県西宮市の市民課業務に、生成AIを活用した電話応答サービス「Graffer AIオペレーター」を実証導入した。定型的な問い合わせに24時間対応し、市民の利便性向上と職員の業務効率化を両立できるか検証する。
西宮市がAI電話を導入 証明書や各種手続きを音声案内
今回の実証では、住民票などの証明書、住民異動届、印鑑登録、マイナンバーカードの手続きに関する問い合わせを主な対象とする。市民は専用の直通電話(050-1785-2695)に電話をかけ、日常会話と同じような話し言葉で質問できる。AIは市があらかじめ登録した手続き情報をもとに、自然な音声で回答する仕組みだ。
実証期間は2026年10月15日午前9時から12月15日午後5時30分まで。市役所の閉庁時間や土日祝日にもAIが応答するため、開庁時間内に電話をかけることが難しい市民にとって、問い合わせの機会を広げる取り組みとなる。
一方、すべての問い合わせをAIだけで処理するわけではない。回答が難しい内容や個別の判断を必要とするケースでは、AIが問い合わせ内容を整理したうえで担当職員に電話を転送する。ただし、職員への転送に対応するのは、平日の開庁時間である午前9時から午後5時30分までに限られる。
サービスを提供するグラファーは、企業や行政機関の業務変革を手掛ける企業だ。「Graffer AIオペレーター」は、AIエージェントの会話能力を活用し、事前登録された情報に基づいて電話応答を行う。会話ログの要約や文字起こしにも対応しており、問い合わせ内容の把握や対応記録の作成を支援する機能も備えている。
24時間対応で利便性向上へ 回答精度と職員連携が焦点
自治体の電話窓口では、手続き方法や必要書類など、一定の情報に基づいて回答できる問い合わせが発生する。こうした定型的な質問をAIが担えば、職員が個別の事情を確認したり、判断を要したりする案件に集中しやすくなる。市民にとっても、開庁時間を待たずに必要な情報を得られる点は大きなメリットだ。
ただし、24時間応答できることと、あらゆる問い合わせを解決できることは同じではない。AIの回答は登録された情報に依存するため、案内内容が不足していたり、制度や手続きの情報が更新されていなかったりすれば、誤解を招く可能性もある。個別判断が必要な相談を適切に見極め、職員へ引き継ぐ仕組みが機能するかどうかも重要になる。
そこでグラファーは、実証期間中に取得した応答ログを分析し、回答精度の改善や職員への取次方法に関する提案を行う。AIが回答できなかった質問や、職員への転送が必要になったケースを分析することで、登録情報の充実や案内フローの見直しにつなげられるだろう。
今回の実証結果を踏まえ、今後本格導入に向けた支援や提案が行われる予定だ。回答の正確性と引き継ぎの円滑さが確認されれば、行政窓口における電話対応の効率化を進めるうえで、一つのモデルとなる可能性がある。