2026年10月16日、日本の金融大手アコム株式会社はTrust株式会社とサイバーセキュリティ体制の強化に向けた業務提携契約を締結した。フロンティアAI時代における脅威に対応するため、両社で体制構築を進める。
アコムとTrustが協業しSSOT基盤やFDEの活用で高度な防衛へ
近年、生成AIをはじめとするフロンティアAIの進展に伴い、システムの脆弱性発見やサイバー攻撃の悪用手法が急速に高度化および高速化している。これに対応するため、アコムは金融サービスやセキュリティ運用における知見を活かし、情報収集から影響範囲の分析、優先順位の判断に及ぶ対応プロセスをAIで強化する狙いだ。
今回の取り組みの中心となるのは、情報の連携および活用を強化するSSOT基盤の構築である。基盤にはTrustが提供する「Trust TLanP® Security」が活用され、集約したデータをAIで分析することによって、リスク評価や脆弱性対応のさらなる迅速化を図る見込みとされる。
さらに、Trustの技術顧問やFDE(※)がアコムの現場に入り込み、AI活用の設計から実装、改善までを一貫して伴走支援する。開発プロセスの中に防御策を組み込むとともに、高度な専門人材の育成も平行して推進される方針だ。
現場で得られた実践的なノウハウやニーズは「Trust TLanP® Security」の機能改善へ継続的に反映され、知見の製品還元も目指す。
※FDE:Forward Deployed Engineerの略。顧客の現場に直接入り込み、課題の把握からシステム実装・解決までを一体となって担うエンジニアを指す。
金融インフラの安全性向上に期待も、現場への迅速な浸透が課題
本提携によって、リスク評価の迅速化のみならず、開発スピードと安全性の高いレベルでの両立が期待される。現場のリアルな運用ノウハウをAI基盤にフィードバックするサイクルが確立されれば、変化の激しいサイバー脅威に対しても柔軟に対応できる体制が整うだろう。安全・安心な金融サービスの基盤強化は、利用者の信頼確保にも直結すると考えられる。
一方で、AIとセキュリティの双方に精通した高度人材の育成には相応の時間を要する見通しだ。最先端のAIセキュリティ基盤を構築しても、現場の運用レベルで確実に使いこなせなければ、本来の効果を発揮できない可能性がある。
また、AIを用いた攻撃手法は日々進化しているため、導入されたシステムや基盤の定期的な更新および運用の見直しが不可欠となる。両社が構築する体制がどこまでスピーディーに実運用へ定着し、成果を出せるかが今後の鍵を握ると言える。