DeNAは、起業のため退職する社員を支援する「ファーストチェック・プログラム」を発表した。
条件を満たす社員が設立する会社に500万円を出資し、最初の資金調達を後押しする制度で、2026年10月から開始する。
起業退職者の新会社に500万円を出資
2026年9月29日、DeNAは、挑戦支援プログラム「DeNA Startup Loop」の第二弾として「ファーストチェック・プログラム」を発表した。
対象はDeNAに2年以上在籍し、スタートアップを起業するために退職してゼロから事業を始める社員である。
本人が事業構想書を添えて応募し、DeNAが条件を確認したうえで、デライト・ベンチャーズ・ビルダー3号ファンド(DVB)へ推薦する。
出資可否はDVBが決定し、新会社の設立後に500万円を出資する。
契約にはSAFEやJ-KISS(※)をベースに、企業評価額の上限を設けない「Uncapped」の方式を採用する。
出資時点では株式を発行せず、次回の本格的な資金調達時の条件に応じて株式へ転換することで、創業初期の過度な持分希釈を抑える設計だ。
また、事業計画の優劣ではなく、在籍期間など所定の条件を満たす創業者本人を信頼して支援する点も特徴となる。
制度開始に先立ち、すでに第1号の対象者が内定している。
デライト・ベンチャーズを通じて起業したTHAは、DeNAグループのDeNA AI Linkとの協業に至っており、その技術はエンタープライズ向けサービスとしてDeNAの事業にも展開されている。
DeNAは今後も「DeNA Startup Loop」で、挑戦を後押しする新たなプログラムを発表する予定だ。
※SAFE・J-KISS:出資時には株式を発行せず、次回の本格的な資金調達時の条件に応じて株式に転換する投資契約の仕組み。
退職後もつながる起業支援、協業拡大に期待
今回の制度は、起業を選ぶ社員にとって初期資金を確保できるだけでなく、最初の出資者を得られる点に意義があるだろう。
創業直後は資金調達や投資家との関係構築が課題になりやすいため、勤務先と関係するファンドから支援を受けられることは、事業を始める際のハードルを下げる可能性がある。
DeNA側にとっても、退職した起業家との関係を維持することで、将来的な事業連携や協業の機会を生み出しやすくなると考えられる。
社員の退職を単なる人材流出として捉えるのではなく、社外での挑戦を新たな事業機会へつなげる仕組みとして機能すれば、人材と事業が循環する独自のエコシステム形成につながるだろう。
一方、500万円の出資だけで事業成長が保証されるわけではない。
今後の事業成長には、追加の資金調達や事業基盤の構築など、創業後も継続した取り組みが必要になるとみられる。
今後は、こうした制度が社員の挑戦を後押しする企業文化の形成にどのような影響を与えるかが注目される。
社内外をまたいで挑戦者との関係を継続する仕組みが、新規事業の創出や企業間連携へどこまで広がるかも重要な論点となるだろう。
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