2026年9月28日、日本のIT企業であるTISIは、JR西日本のAPI共通基盤において生成AIを活用し、API定義ファイルの作成・レビュー工程を効率化する取り組みで本番運用を開始したと発表した。
TISIが生成AIツールをJR西日本へ導入 API公開工程の自動化を達成
JR西日本では、外部事業者からの運行情報や遅延情報などのデータ提供要望が増加しており、APIの迅速な開発と定義ファイルの品質向上が課題となっていた。定義作成やレビューには専門知識が不可欠であり、特定担当者への作業集中や確認作業の反復が生じ、API公開までに約1ヶ月を要する事例もあった。
こうした課題を解決するため、JR西日本はTISIが提供する「高セキュリティAPI基盤サービス」のもとで生成AIを活用したPoC(概念実証)を実施した。TISIが独自開発した支援ツールを用いて自動化を検証したところ、コード誤りの検出率は87.5%を記録し、9件の修正課題すべてに対応できることが実証された。
この結果、従来手作業で1〜2時間を要していた修正作業は約30分に短縮され、3時間以上かかっていたレビュー作業も数分から数十分程度へ軽減された。JR西日本はこの有効性を確認し、現在はAPI共通基盤の運用において本ツールを本番運用している。西日本旅客鉄道の甲斐康弘氏も、開発現場における実用性と品質平準化の効果を高く評価している。
開発効率化とMaaS推進のメリットの一方で運用管理の精度向上も課題に
今回の生成AI活用は、API公開までのリードタイムを大幅に削減し、鉄道データやMaaS領域での外部連携を加速させる大きなメリットをもたらすと見られている。要件定義やテスト工程といった開発ライフサイクル全体へAIの適用範囲を拡張できれば、開発現場全体の生産性向上が期待される。金融をはじめとする高セキュリティ要件が求められる領域へ同様の仕組みを展開できる点も強みになると考えられる。
一方で、自動化が進むことに伴い、生成AIが出力するコードに対する最終的な人間による評価やガバナンス体制の維持が重要となる。完全にAIへ依存するのではなく、ベテランエンジニアのノウハウを適切に学習させつつ、人間による確認プロセスを継続的に組み込む運用の工夫が必要と考えられる。
今後は社外ベンダーへも本ツールが展開される予定であり、調整工数のさらなる削減が見込まれている。安全性を担保しながらAI適用域を拡大できれば、社会インフラ分野におけるデータ利活用の先行事例として他業界へも波及していく可能性がある。
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