2026年9月3日、海外のLenovoは、IFA 2026で開催した「Lenovo Innovation World」において、個人・企業向けの新たなテクノロジーポートフォリオを発表した。PCやスマートフォン、タブレットなどを横断するパーソナルAIと、企業向けHybrid AI(※)を一体的に展開する。
Lenovo、1つのAIを複数デバイスへ拡張
今回の発表で中核となるのが、「1つのパーソナルAI、複数のデバイス」という構想だ。LenovoとMotorolaのAI「Qira」は、対応するPCやスマートフォンに加え、アプリケーション、サービス、ウェアラブルへとサポート範囲を広げる。新型「moto watch ultra」は、Qiraに対応する初のMotorola製ウェアラブルとなる。
さらにWorkatoとの協業により、対応するQiraの機能をGmail、Google Calendar、Google Contacts、Slack、Outlook Mail、Outlook Calendarへ拡張する。デバイス単体でAIを利用するのではなく、日常的に使うサービスを横断して意図した作業を実行する環境を目指す形だ。
クリエイター向けのYogaでは、NVIDIA RTX Sparkを搭載した「Yoga Pro 9n」「Yoga 9n 2-in-1」を投入。AIタブレット「Yoga Tab Plus Gen 2」「Yoga Tab Gen 2」も発表した。「Lenovo Smart Canvas Concept」では、音声、ペン、カメラ、タッチを組み合わせ、複数デバイスでアイデアを記録・発展させる仕組みを示している。
企業向けでは、「ThinkCentre X Ultra」「ThinkCentre M75」などのデスクトップや、「ThinkBook」シリーズ、ThinkVisionディスプレイを展開。ローカルAI性能、生産性、コラボレーション、セキュリティを組み合わせ、AI導入の段階に応じた環境を整える狙いがある。
※Hybrid AI:デバイス、エッジ、クラウドなど複数の環境にAI処理を分散し、それぞれの特性を生かして機能させる考え方。
AIの常時活用へ 利便性と管理負担が焦点に
Lenovoの戦略は、AIを特定のアプリケーションとして使う段階から、複数のデバイスやサービスに組み込む段階への移行を示すものと言える。ユーザーが利用する端末やサービスを意識して切り替えるのではなく、AIが状況に応じて支援する環境が広がれば、仕事や創作の進め方そのものが変わることもあると考えられる。
企業にとっても、AI処理をデバイス上で実行できる環境は、用途に応じた柔軟な選択肢になる。Lenovoは「ThinkShield TraceLock(※)」やPrompt Securityの技術も導入し、デバイスの可視性や制御、AIガバナンスを支援する方針だ。
一方、複数デバイスや外部サービスを横断してAIを利用するほど、管理対象は広がる。どの端末でどの処理を行うのか、企業データをどう制御するのかといった運用面が、導入時の重要な論点になるだろう。
今後は、YogaやThinkシリーズだけでなく、Motorolaのスマートフォンやウェアラブルまで含めたエコシステムが、どこまで一貫したAI体験を提供できるかが焦点となる。LenovoのHybrid AI戦略は、AIを「使うもの」から「常に身近にあるもの」へ変える動きを加速させる可能性がある。
※ThinkShield TraceLock:デバイスの位置や状態などを可視化・管理し、セキュリティ強化につなげるLenovoの機能。