米OpenAIは新AIモデル「GPT-6 Astra」を発表した。コンピューター操作、ソフトウェア開発、科学、サイバーセキュリティなどで性能を高め、限定組織への提供を開始する。
今後数日でChatGPT Plus、Pro、Business、EnterpriseやAPIなどへ展開する予定だ。
PC操作や開発性能を強化、実務処理を高速化
2026年9月3日に発表されたGPT-6 Astraは、事前学習や強化学習、人間の意図に沿うための研究成果を統合した次世代モデルである。OpenAIはコンピューター操作やブラウジング、ソフトウェア開発、科学分野などで最先端の性能を持つとしており、抽象的な推論能力を測るARC-AGI-3では99.9%、数学能力を測るFrontierMath Tier 4では97.6%を記録した。
実務面では、オンラインフォーム入力やCRM更新、予定整理、Web調査、文書作成、科学データ解析、Webサイト制作まで複数工程をまたぐ作業に対応する。「エージェントのための最終試験」と銘打たれたAgents’ Last Examでは59.3%、知識労働タスク向けのOSWorld 2.0では72.6%を記録し、後者ではGPT-5.6 Solより1タスク当たりの所要時間を約47%短縮したという。
ソフトウェア開発でもTerminal-Bench 4.0で57.9%を記録し、GPT-5.6 Solの37.3%を上回った。Codexには長時間作業向けの文脈保持機能も加わり、過去の要件やテスト結果を検索しながら作業を継続できる。
提供は限定組織から始まり、今後数日でChatGPT Plus、Pro、Business、Enterprise、OpenAI API、Microsoft Azure、AWS Bedrockへ拡大する。API標準料金は入力100万トークン当たり10ドル、出力は50ドルとなる。
業務自動化が進展、安全性と権限制御が焦点
Astraの進化で大きいのは、回答生成だけでなく、画面操作やソフトウェア利用を含む一連の業務をAIへ委ねやすくなる点だ。調査から資料作成、システム操作までを連続処理できれば、知識労働の自動化範囲は広がり、担当者は判断や例外対応へ集中しやすくなる。
一方、自律性の向上は誤操作や権限逸脱のリスクも拡大させる。これに対し、OpenAIは内部評価で、GPT-5.6 Solが認可対象を越えたケースが48%だったのに対し、Astraは0%だったとしており、タスク境界を守る性能の改善を強調している。
ただ、サイバー能力の伸長による副作用は無視できない懸念として残る。ソフトウェア脆弱性を実用的なエクスプロイトに変換できるかを評価するExploitBenchでは、実に100%を記録し、評価中には未知のゼロデイ脆弱性も発見した。未知の脆弱性を発見し、攻撃手法の構築へ悪用される可能性は排除しきれない。
提供版では高度な攻撃用途を拒否し、監視や自動審査などの安全策も強化するとしているが、今後は、業務システムを実際に操作するエージェントとしてどこまで採用するかが焦点になるだろう。生産性向上の余地は大きい一方、権限設計や監査、停止条件を含む運用体制が導入効果を左右すると考えられる。
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