2026年8月25日、東京都の株式会社Forcesteed Roboticsは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の研究者らと共同で生成AIを活用したフィジカルAI搭載屋内搬送ロボットの安全性に関する研究成果を発表した。飲食店での配膳を想定した検証を通じて現実環境で想定されるリスクの抽出と低減方策を整理し、日本ロボット学会で報告する。
飲食店を想定し生成AIロボットの安全性を検証
Forcesteed Roboticsと産総研は、生成AIを搭載した屋内搬送ロボットが実際のサービス現場で安全に稼働するためのリスク分析を共同で実施した。研究成果は「生成AIを用いたフィジカルAI搭載屋内搬送ロボットにおけるリスクの抽出とリスク低減方策」として日本ロボット学会で発表される予定である。
今回の研究ではファミリーレストランの配膳業務を具体的な利用シーンに設定し、3Dシミュレーションと実機による模擬環境の両方でロボットの動作を検証した。単に目的地まで到達できるかだけではなく、人や障害物への対応、子どもの動きへの反応、従業員と来店客からの指示を区別する権限管理など、現場で起こり得る状況を幅広く確認している。
またロボットの動作結果だけでなく、生成AIが周囲をどのように認識し、どのような判断を経て行動したのかを分析できる仕組みも導入した。その結果シミュレーションと現実環境の違いや、ロボットの構造、周囲の環境変化、AIの認識と判断の組み合わせによって、期待した動作に至らないケースが確認された。
実用化には説明可能性と安全性の両立が鍵に
今回の研究は、生成AIをロボットへ搭載する際に「動くかどうか」だけではなく「なぜその判断をしたのか」を検証する重要性を示した点に大きな意義がある。人と同じ空間で稼働するロボットでは認識や判断の誤りが現実世界での事故やサービス停止につながる可能性があり、安全性の確保は社会実装の前提条件になる。
今後は異常発生時の復旧時間短縮や人の行動予測、ロボット自身の状態把握、認識結果の信頼度を考慮した判断などについて追加検証が進められる予定だ。これらの技術が成熟すれば飲食店だけでなく物流、製造、商業施設、点検など幅広い分野でフィジカルAIの導入が加速する可能性がある。
一方で、生成AIは環境や状況の変化によって判断結果が変動する特性も持つ。そのため実用化を進めるには性能向上だけでなく、AIの判断過程を検証・改善できる仕組みや、安全性を客観的に評価する手法の整備も欠かせない。今回の研究はフィジカルAIの社会実装に向けた安全性評価の基盤づくりとして、今後の研究開発にも影響を与える取り組みと言える。