2026年8月20日、国内の株式会社PeopleXは、品川区役所が対話型AI面接サービス「エンPeopleX AI面接」を同年7月6日に導入したと発表した。自治体業務の最適化を担うDX人材の公募で活用し、候補者ごとの回答に応じた深掘り質問を通じ、多角的な人物評価を支援する。AIが面接を進行する一方、合否は採用担当者が最終判断する仕組みだ。
品川区、自治体DX担う人材選考にAI面接を活用
今回導入された「エンPeopleX AI面接」は、PeopleXの「PeopleX AI面接」をOEM提供するサービスである。エン株式会社とPeopleXの合弁会社であるエンPeopleX株式会社が提供し、応募者との自然な対話を通じて面接を進める。
活用するのは「情報推進担当(自治体業務の最適化)」の職員公募だ。大井町駅周辺の大規模な都市開発や、2029年の品川区役所新庁舎移転を控える同区では、区民サービスの向上と職員の業務改革に向け、DXの推進が重要な課題となっている。
AIは事前設定した質問を投げかけるだけでなく、候補者の回答内容に応じて追加質問を行う。初期選考の段階から個性や強み、可能性を引き出しやすくする狙いだ。応募者は24時間いつでもどこからでも面接を受けられ、採用側は面接回数の拡大と対応工数の削減を両立できる。
一方、AIが合否を自動決定するわけではない。採用担当者が録画内容や文字起こし、評価レポートを確認し、最終的な評価と合否を総合的に判断する。
AI面接の自治体展開、採用の裾野拡大も
今回採用する情報推進担当は、標準準拠システムへの移行後における運用やコストの最適化、ガバメントクラウドの利活用などを担う。全国の自治体が直面する課題への対応を担うポジションであり、品川区の取り組みが先進事例として注目される可能性がある。
同区は学歴やブランクを問わず、社会人経験10年以上の人材を対象に採用する方針で、民間企業出身者にも門戸を開く。すでにデジタル推進課では民間出身者が活躍しており、行政と民間の知見を組み合わせた人材獲得をさらに進める構えといえる。
AI面接の導入は、時間や場所の制約を減らし、従来の面接では機会を得にくかった人材への接点を広げる利点がある。また、回答に応じた質問によって画一的な選考を避け、多面的な評価を支援できる点も強みとなる。
ただし、AIによる質問や評価レポートが採用判断に与える影響には慎重さも求められる。候補者ごとの個性を公平に引き出せるか、最終判断を担う人間がAIの出力を適切に活用できるかが重要だ。自治体DX人材の獲得競争が進む中、AIを選考の効率化だけでなく、多様な人材と行政をつなぐ手段として機能させられるかが今後の焦点となる。