2026年8月20日、一般財団法人日本規格協会(JSA)が、AIシステムの影響評価に関する「JIS Q 42005」および認証機関の基準を定めた「JIS Q 42006」を制定したことを発表した。
JIS Q 42005と42006が制定 個別AIの評価手法と認証基準を明確化
日本規格協会(JSA)は、AIシステムに関する国内規格として「JIS Q 42005」と「JIS Q 42006」を発行した。両規格はそれぞれ国際規格の「ISO/IEC 42005:2025」および「ISO/IEC 42006:2025」に対応する一致規格(※)である。
背景には、産業界におけるAI活用が進む一方で、差別的かつ不公正な結果や環境負担、人権への悪影響といった課題の顕在化が挙げられる。2025年にはAIマネジメントシステム(AIMS)要求事項を定めた「JIS Q 42001」が制定されたが、個別AIシステムの影響評価手法までは示されていなかった。
今回新たに制定されたJIS Q 42005は、個別AIシステムが社会や人間に与えるネガティブな影響を防ぐ「インパクトアセスメント」の具体的な手順を規定している。組織は既存のマネジメントシステムと本規格を併用することで、より実効性の高いガバナンスを構築できる。
また、同時に制定されたJIS Q 42006は、JIS Q 42001に基づくマネジメントシステムを第三者認証する審査機関の公平性や技術的能力などの要求事項を明確化するものだ。これにより、客観的な適合性評価を支える標準基盤が国内に整う。
※一致規格:国際規格(ISOやIECなど)の内容をそのまま受け入れ、技術的・内容的に全く同一の形で制定された国内規格(JIS)のこと。
AIガバナンスの信頼向上へ 第三者証明で国際市場の価値向上に期待
本規格の制定は、企業のAI運用における信頼性確保のみならず、グローバル競争力の強化に寄与すると予想される。企業はJIS Q 42005を採用することで、実効的な評価プロセスを文書化し、リスク対策を明確に提示することが可能となる。
さらに、JIS Q 42006に沿った客観的な第三者認証を受ける仕組みが確立される点も大きい。これにより、自社のAIシステムが倫理的・技術的に信頼できる水準であることを国内外の市場や顧客へ証明する道が開ける。法令順守や社会的責任の履行を後押しする効果は極めて高いだろう。
一方、導入初期においては専門スキルを持つ審査員の確保が課題となりうる。そのため、JIS Q 42006では対応国際規格の発行年の翌年から最長2年間の特例措置が導入されており、円滑な制度立ち上げが図られている。今後は、国内外の規制対応や企業価値向上を目指す組織において、本規格の導入が加速する可能性が考えられる。