京都市の株式会社成基は、岐阜県山県市と連携し、不登校児童生徒を支援する共同利用型メタバース教育支援センターを開設すると発表した。
複数自治体で社会的自立や再登校を支えるモデルは日本初であり、山県市は東海地方で初の参画自治体となる。
山県市が共同利用型メタバース支援に参画
成基が2026年8月10日に発表した今回の取り組みは、学校に通いづらさを抱える児童生徒に対し、メタバース(※)上で居場所と学びの機会を提供するものである。
児童生徒は自宅などからアバターを使って参加でき、顔を出さずに自分のペースで他者との交流や学習へ取り組める。
センターでは、スタッフによる声かけやコミュニケーション支援に加え、学習活動や探究活動、交流イベントなどを実施する予定である。
オンラインだけで支援を完結させず、必要に応じて学校や教育支援センター、地域の支援機関と連携し、社会的自立や再登校、進路選択へつなげる方針だ。
背景には、全国で不登校児童生徒が増えている状況がある。
文部科学省の調査では、小中学校の不登校児童生徒数が5年間で約2倍となり、過去最多を更新しているという。
成基はこれまで京都市などとメタバースを活用した不登校支援を進めてきた。
今回はその実績を基に、単独自治体では構築しにくいオンライン支援体制を複数自治体で共同利用する形へ拡張する。
2026年6月時点で京都府2自治体、滋賀県2自治体、山県市の計5自治体が導入を開始している。
※メタバース:インターネット上に構築された仮想空間。利用者はアバターなどを通じて空間内を移動し、他者との交流や学習、イベント参加などを行える。
自治体連携で広がる不登校支援の選択肢
共同利用型モデルの利点は、自治体単独では人材や運営体制を確保しにくい場合でも、広域でリソースを共有しながら支援環境を整えられることだと言える。
居住地域による支援機会の差を縮小できれば、不登校児童生徒にとって学校以外の選択肢を確保しやすくなる可能性がある。
また、顔出しを必要としないオンライン空間は、対面での交流に心理的な負担を感じる児童生徒が社会との接点を持つ入口にもなり得る。
そこからリアルな支援機関や学校への接続まで設計されている点は、単なるオンライン学習サービスとの差別化要素と言える。
一方、メタバースへの参加だけで社会的自立や再登校につながるとは限らない。
児童生徒ごとに抱える事情は異なるため、オンライン上での活動状況を把握し、家庭や学校、地域支援へ適切に橋渡しする運用が重要になるだろう。
今後、参画自治体が増えれば、地域を越えて支援ノウハウを共有できる仕組みへ発展する余地がある。
山県市などで得られる実践知を蓄積し、継続的な支援効果を示せるかが、全国への広域展開を左右するポイントになりそうだ。
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