NTTドコモとSamsungは、AIでスマートフォンの通信速度低下を予測し、品質が落ちる前に接続先を自動で切り替える技術の実証に成功したと発表した。国内実験では速度低下の発生頻度を5.9ポイント削減した。
AIが速度低下を予測し接続先を自動切替
NTTドコモとSamsungが、2026年8月10日に発表した共同開発技術は、通信品質が低下してから対処する従来型のネットワーク制御を発展させ、劣化の予兆をAIで検知して事前に接続先を切り替えるものだ。
スマートフォンなどから匿名で収集する過去の通信品質データ「MDT(※)」に加え、ユーザーの移動傾向や利用サービスの状況をAIが分析する。
動画の途切れや画質低下などにつながる通信速度の低下を予測し、実際に品質が悪化する前に、より良好な通信環境を提供できるネットワークへ自動的に切り替える仕組みである。
2026年1月には、日本国内のローカル5Gと商用LTEを用いた実証環境で、市販スマートフォンを載せた車両を走行させて有効性を検証した。
動画視聴時と同様の通信を行い4回測定した結果、速度低下の発生頻度は技術を適用しない場合の13.1%から7.2%へ低下し、平均5.9ポイントの削減を確認した。
また、AIによる最適化に必要なデータを効率的に収集する技術も検討している。
無線環境の情報を一律に大量収集するのではなく、ユーザーごとに生じる通信課題に応じて必要な情報を選択することで、ネットワークへの負荷を抑えながら予測や制御に必要なデータを取得する。
両社は通信速度低下の予測技術と効率的なデータ収集技術を3GPPへ共同提案しており、2030年代の6G実用化に向けて研究開発と標準化活動を継続する方針だ。
※MDT:Minimization of Drive Testの略。スマートフォンなどの端末から通信品質などの情報を匿名で自動収集し、通信エリアやネットワーク品質の改善に活用する仕組み。
予兆型通信で利便性向上、精度と効率が焦点
通信品質が悪化する前にAIが対処できれば、移動中の動画視聴やオンライン会議などで突然発生する映像の途切れや音声劣化を抑えられる可能性がある。
ネットワーク側が個々の利用状況を踏まえて先回りすることで、ユーザーが意識せずとも安定した通信環境を維持しやすくなる点は大きなメリットだ。
一方、予兆型の制御を高精度に機能させるには、移動傾向や利用サービス、通信品質など複数の情報を適切に分析する必要があるだろう。
データ量を増やせばネットワークへの負荷も高まり得るため、予測精度の向上と効率的な情報収集をどこまで両立できるかが実用化の鍵となる。
将来的に技術が高度化すれば、ネットワーク障害や混雑への対応は事後的な制御から、AIが状況変化を先読みする予兆型へ移行していくと考えられる。
さらに国際標準化が進めば、特定企業だけに閉じた技術ではなく、通信事業者や通信機器メーカーが共通して利用できる基盤へ発展する可能性もある。
6Gでは通信速度そのものに加え、AIが利用環境を自律的に判断し、品質を安定させる能力も重要になると考えられる。
予測精度やデータ収集効率を高められるかが、AIを前提とした次世代ネットワークの普及を左右すると言える。
株式会社NTTドコモ ドコモとSamsung、AIで通信速度低下を予測し未然に防ぐ技術の実証に成功
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