2026年9月24日、NTTドコモビジネスはIoT向けNaaS「docomo business SIGN®」の機能を強化し、国内初となるソブリンAI環境を同年12月より提供開始すると発表した。データ収集から推論までを安全に行えるインフラを実現する。
MECとGPUaaSの直結モデルを展開 自社設備なしで1GPUから利用可能
国内AIシステム市場は2025年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)28.1%で拡大すると予測されており、製造業や物流業などでAI導入が急速に進んでいる。一方で、映像や製造工程の機密データを扱う機会が増えたことで、国内で安全にデータを管理できるソブリンAI環境(※)へのニーズが高まっていた。しかし、自社で構築・運用するには高額なGPU設備と緻密なネットワーク設計が必要となり、大きな課題となっていた。
これに対し、NTTドコモビジネスはモバイルネットワークに直結したMECサーバー基盤と「GPUaaS」を連携させるモデルを提示した。ソブリンなMEC環境とGPUクラウドを直結して提供するのは国内企業として初となる。これにより、ユーザーはオンプレミス(自社所有)設備を自前で保持することなく、1GPU単位からの利用が可能となる。
本機能の展開は「NTTモビリティ 運行アシスト」の乗客個人情報を保護する実証実験(2026年度秋予定)や、自動運転等のリアルタイム制御に向けた「通信安定化ソリューション/intdash」などのデータ活用基盤(2026年度第3四半期予定)へ順次進められる見通しだ。さらに、2027年度にはマネージドコンテナ実行基盤の提供も検討されている。
※ソブリンAI環境:データを国内で保管・処理するなど、データ主権およびセキュリティを強固に配慮した上でAIを活用する統制された技術基盤のこと。
フィジカルAIの展開速度を高める好機 安全稼働に向けた課題も存在
今回の機能拡充は、映像解析や自動運転、ロボット制御といった「フィジカルAI」の事業化を検討する企業にとって大きなメリットをもたらすと言える。高額な初期投資を避けてオンデマンドにリソースを拡張できる点は、新規事業の迅速な立ち上げやトライアル運用において強力な後押しとなるとみられる。個人情報や機密データを国内環境で厳重に保護しつつ処理できる安心感も、導入障壁を大幅に下げる要因となりそうだ。
一方で、留意すべきリスクやデメリットも考えられる。自動運転車や産業用ロボットなどの物理システムを運用する際、万が一AIが誤動作を起こせば物理的な事故や設備の損傷に直結する危険性が存在する。そのため、不正アクセスやサイバー攻撃に対する強固な耐性を継続的に担保できるかが運用の生命線になると言える。
今後は、2026年10月に開催される「NTT docomo Business Forum’26」での展示を皮切りに、多様な領域への適用拡大が進む見込みだ。映像AIプラットフォーム「docomo business SIGN® VPaaS」等への適用を通して秘匿性の高いデータ処理の標準基盤となれるかが、今後の普及のカギを握ると予想される。
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