2026年8月3日、野村総合研究所(NRI)は、企業のAIによる事業変革(AX)を構想策定からAI実装・運用まで一貫して支援する新サービス「NRI AFT(AI Field Transformer)」の提供を開始した。日本企業特有の業務や商習慣を踏まえ、現場常駐型の支援体制を採用することで、AI導入から継続的な事業変革まで伴走する。
日本企業特有の課題に対応するAX支援を提供
NRIが開始した「NRI AFT」は、AI活用を単なる業務効率化にとどまらず、企業の事業変革まで見据えた伴走型サービスである。まずはコンサルティングサービスとして提供を開始し、今後はAI実装や運用支援などへ段階的にサービス領域を広げる予定だ。
背景には、日本企業が抱える構造的な課題がある。長年のカスタマイズで複雑化した基幹システム、部門横断の意思決定の難しさ、現場に蓄積された暗黙知(※)などが、AI活用を阻む要因になり得る。海外で成功したAI活用事例をそのまま適用しても、現場への定着や継続的な成果創出につながらない可能性があるためである。
こうした課題に対し、本サービスでは日本企業の業務や商習慣への理解を持つAX支援チームが顧客企業へ常駐し、AI導入を支援する。NRIが長年培ってきたコンサルティングの知見やエンジニアリング力に加え、セキュアなAI基盤も組み合わせることで、構想策定から実装・運用までを一体で支える体制を整えた。
※暗黙知:文書化されていない経験や勘、ノウハウなど、担当者個人の中に蓄積された知識。AIで活用するには形式知として整理・共有する作業が重要となる。
AI導入から継続的な競争力強化へ発展する可能性
本サービスの特徴は、AIシステムを導入して終わりではなく、現場でROIの検証を繰り返しながら改善を継続する点にある。NRIのAX支援チームは顧客企業とともに高速で検証サイクルを回し、現場で得られた知見をAIへ継続的に反映することで、AIエージェントの価値向上まで支援するとしている。
また、各業界のコンサルタントが経営層と現場の双方を巻き込みながら変革を進めるため、業務効率化だけでなく、新たな事業機会の創出や競争優位の確立につながる可能性もある。AI活用を全社的な経営戦略へ結び付けたい企業にとっては、有力な選択肢となることが期待される。
一方で、現場常駐型の支援は企業側との密接な連携が前提となるため、組織全体で変革を受け入れる体制づくりも欠かせない。AIによる事業変革は技術導入だけでは実現せず、業務プロセスや組織文化まで含めた継続的な改革が成果を左右すると考えられる。