日本のソフトウェア企業アステリアは、「令和8年熊本地震」の被災自治体や企業、団体に自社製品を無償提供すると発表した。義援金300万円も寄付する方針で、被災状況の把握や支援情報の共有、復興業務の迅速化を後押しする。
3製品を無償提供、復旧現場の情報共有を支援
2026年7月30日にアステリアが無償提供を発表したのは、現場向け業務アプリ基盤「Platio」、デジタルコンテンツ基盤「Handbook X」、AIネイティブ業務基盤「Bakusoku.AI」の3製品である。対象は令和8年熊本地震で被災した地方自治体、企業、団体など。無償提供期間は2026年8月3日から2027年1月31日までで、申し込み自体は2027年12月31日まで受け付ける。
Platioは100種類以上のテンプレートを備え、被災状況を写真や動画、GPS情報とともにスマートフォンから報告できる。オフラインでも入力でき、通信回復後に自動同期されるため、回線が不安定な現場での利用を想定している。
Handbook Xでは、職員やボランティア向けの手順書、動画マニュアル、災害対応資料を一元的に登録・共有できる。Bakusoku.AIは、AIとの対話を通じて最短3分でアプリを作成でき、避難所や仮設トイレの位置情報などを共有する用途に使えるという。
3製品はいずれもノーコード(※)を特徴とし、専門的な開発スキルを持たない利用者でも扱いやすい設計だ。アステリアは別途、被災自治体への義援金として300万円を寄付すると決定した。
※ノーコード:プログラミング言語を記述せず、画面上の操作やテンプレートの組み合わせによってアプリや業務システムを構築する開発手法。
即応性に期待、運用設計と現場定着が課題
災害対応では、被害状況、支援物資、避難所、危険箇所などの情報が短時間で変化する。現場からスマートフォンで情報を集約し、対策本部や支援者へ共有できれば、電話や紙を中心とした連絡よりも更新の遅れや転記ミスを減らせる可能性がある。
特に、既存テンプレートを使えるPlatioや、対話形式でツールを作成できるBakusoku.AIは、復旧過程で新たに発生する業務へ素早く対応しやすい。Handbook Xも、交代制で活動する職員やボランティアの手順統一に役立つと考えられる。
一方、製品を導入するだけで情報共有が機能するとは限らない。入力項目や閲覧権限を適切に設計し、誰が情報を更新し、どの部署が判断に使うのかを明確にする必要がある。端末の確保や利用者への周知、個人情報の取り扱いも重要な論点だ。
今回の支援は、企業の既存ソフトウェアを災害対応の情報基盤として活用する事例と言えるだろう。実際の復旧現場で活用が進めば、平時から自治体や企業が災害対応用のデジタル基盤を準備する動きにもつながる可能性がある。
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