メインコンテンツへスキップ
最新ニュース 3分で読める

車載生成AIをネット不要で実行 独FEVがMicrosoft・NVIDIAと協業

PlusWeb3 編集部
PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

2026年7月9日、ドイツのエンジニアリング企業FEVは、MicrosoftおよびNVIDIAと協力し、車両内で生成AIを動作させる技術の開発を進めていると発表した。常時インターネット接続に依存せず、音声・テキスト・ジェスチャーによるマルチモーダル操作を実現する点が特徴で、ソフトウェア定義型車両(SDV)へのAI統合を加速させる狙いがある。

車載生成AIをオフラインで動作

今回の協業では、Microsoft Foundry上の小規模言語モデル「Phi-4-mini-instruct」を、NVIDIA DRIVE AGXのGPUアクセラレーション環境で動作させる。これにより、ダッシュボード設定や車両プロファイル変更などを自然な音声コマンドで操作できるようになる。

特徴的なのは、推論処理を車両内で完結させる点だ。従来の生成AI機能はクラウド接続が前提となるケースが多かったが、組み込み型の小規模言語モデル(SLM)(※1)を利用することで、通信圏外でも中核機能を維持できる。クラウドベースの大規模言語モデル(LLM)のバックアップとしても機能し、可用性の向上が期待される。

FEVは、NVIDIA NeMoを用いて生成した合成データを活用し、モデルを車載向けに最適化した。その後、NVIDIA DRIVE AGXへ統合し、リアルタイム性能を高めている。実際に開発されたダッシュボード設定のショーケースは数週間で完成し、高速な応答性を示したという。

同社のトーマス・ヒュルスホルスト氏は「小型で効率的な言語モデルでも、より大規模なシステムに匹敵する車内体験を提供できる」と説明している。

※1 小規模言語モデル(SLM):大規模言語モデルよりパラメータ数を抑えたAIモデル。計算負荷や消費電力が小さく、車載機器やスマートフォンなどの組み込み環境でも動作させやすい特徴を持つ。

SDVのコスト構造を変える可能性

組み込み型生成AIは、ソフトウェア定義型車両(SDV)(※2)の経済性にも影響を与える可能性がある。推論をローカルで実行できれば、クラウド利用料やバックエンドインフラコストを削減でき、自動車メーカーはAI機能をより低コストで展開しやすくなる。

FEVは、量産化を見据えた適用分野として、自動運転レベル3〜5の認識支援、ドライバー・乗員モニタリング、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)のパーソナライズ設定を挙げている。特に都市部の複雑な交通環境や、疲労・注意散漫の検知精度向上への活用を検証中だ。

一方で、課題も残る。車載環境では処理能力や消費電力、発熱に制約があり、クラウドLLMと同等の高度な推論をどこまで実現できるかは未知数である。また、安全関連機能にAIを組み込む場合は、自動車業界特有の厳格な認証や検証プロセスを満たす必要がある。

これらを踏まえた上で、通信状況に左右されないAI機能への需要は高い。今後、FEVがデモ車両での検証結果を量産直前アプリケーションへ展開できれば、「車載AIはクラウド依存」という前提を大きく変える転換点になる可能性がある。

※2 ソフトウェア定義型車両(SDV)Software Defined Vehicle:車両の機能をソフトウェアによって柔軟に追加・更新する設計思想。OTA(無線アップデート)を通じて購入後も機能拡張できる次世代自動車の中核概念とされる。

FEV プレスリリース

Share this article コピーしました
WRITTEN BY

PlusWeb3 編集部

Web3・AI専門メディア

PlusWeb3 編集部は、ブロックチェーン・Web3・AIの最新動向をわかりやすくお届けする専門メディアチームです。業界経験豊富な編集者とリサーチャーが、信頼性の高い情報を厳選してお届けします。

コピーしました

Web3・AI・ディープテック領域のキャリアに興味がありますか?

業界特化メディアを運営する専門エージェントが、企業のカルチャー・技術スタック・選考ポイントまで踏まえてキャリアをご提案します。相談は完全無料です。