ソフトバンクと安川電機は、NVIDIAの協力を得て、AIデータセンター GPUクラウドを活用したフィジカルAI開発基盤で、ワイヤーハーネスを安定して扱う柔軟物体ハンドリングシステムの実証に成功したと発表した。
GPUクラウドで柔軟物体の操作を実証
2026年7月13日、ソフトバンクは、開発中の「AIデータセンター GPUクラウド」上で動作するフィジカルAIの開発支援ツールを構築したと発表した。
動作データの収集から合成データ生成、AIモデルの学習、シミュレーション評価、実機への適用までを一元化する仕組みである。
開発には、ロボットの仮想環境を構築するNVIDIA Omniverse、合成データ生成に活用できるNVIDIA Cosmos、NVIDIA Physical AI Factory Blueprintを採用した。
実機では集めにくいデータを補い、GPUでモデルを学習した後、シミュレーター上で性能を確認してからロボットへ適用する流れになる。
安川電機は、視覚情報と作業指示から動作を生成するVLA(※)を用い、ひもや布、袋など形状が変わりやすい対象物を認識・把持・操作するシステムを開発した。
従来制御が得意な動作と、AIによる状態認識や把持位置の判断が必要な動作を分け、既存のロボットシステムにAIを機能モジュールとして組み込んでいる。
実証では、配置や形状が変わるワイヤーハーネスを箱へ収納するタスクを実施した。
AIが視覚情報を基に対象物の状態を捉え、リアルタイムに学習しながら指示を出すことで、安定したハンドリングが可能であることを確認した。
※VLA:画像などの視覚情報、言語による指示、ロボットの動作を統合して扱うAIモデル。
開発効率向上の一方で現場データ管理が課題
今回の実証は、フィジカルAI開発に必要な複数工程をクラウド上へ集約し、導入までの時間と専門作業を減らせる可能性を示した。
特に、実機データが不足しやすい領域を合成データで補完し、シミュレーションで検証してから現場へ展開できれば、試行錯誤に伴うコストや設備停止のリスクを抑えやすくなるだろう。
また、AIを既存設備へ機能単位で追加する構成は、工場全体を刷新せずに段階的な導入を進められる点で現実的と言える。
ワイヤーハーネスのような不定形物を扱えるようになれば、配線、袋詰め、布製品の搬送など、従来は自動化が難しかった工程へ応用が広がる可能性がある。
一方、クラウドへ送る実機データやセンサー情報には、企業固有の製造条件や作業ノウハウが含まれうる。
データの保存範囲、アクセス権限、モデルの帰属、拠点間での再利用方法を明確にしなければ、情報管理や責任分界が導入の障壁になるだろう。
今後は、異なるロボットや業務でも同じ基盤を活用できるか、高度なタスクで再現性と安全性を維持できるかが焦点となりそうだ。
ソフトバンクが検証対象を広げ、安川電機が実環境での適用精度を高められれば、GPUクラウドが製造現場のAI導入を支える共通基盤へ発展するかもしれない。
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